労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  寿工業所等 
事件番号  神労委平成24年(不)第18号 
申立人  神奈川シティユニオン 
被申立人  有限会社寿工業所 
命令年月日  平成26年3月5日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社Yで造船関係の作業に従事していたX2は、平成24年2月29日、同年3月末で仕事がなくなることを会社から告げられ、申立人組合に加入した。当時、会社は、被申立人会社Zが同Aから請け負った造船作業の一部をZから請け負い、X2らに従事させていた。本件は、①Y、Z及びAがX2の解雇を含む労働問題に関する団交に応じなかったこと、②Yが組合に対し、X2が組合に加入したことが分かる書類及び組合規約の提出を求めたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。申立ての後、組合とZ及びAとの間で和解が成立し、組合は両社に対する申立てを取り下げた。
 神奈川県労委はYに対し、誠実団交応諾及び文書交付を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成24年3月10日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を申立人に交付しなければならない。
   当社が、貴組合からの平成24年3月10日付け団体交渉申入れに応じなかったことは、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると神奈川県労働委員会において認定されました。
   今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
    平成  年  月  日
   神奈川シティユニオン
    執行委員長 X1
有限会社寿工業所
代表取締役 Y1

3 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社Yが団交に応じなかったことについて
 認定した事実によれば、組合員X2は少なくとも平成24年4月30日までは会社(Yをいう。以下同じ。)に直接雇用されており、申立人組合は同年3月10日付けで同月19日に同人の解雇及び勤務中の労働条件に関する団交を開催するよう要求したのであるから、会社がこれに応じるべき地位にあったことは明らかである。しかし、会社は、被申立人会社Zに相談し、上記の団交には出席しなくてよいとの回答をいったん受けていたものの、同月17日頃には、本件団交要求書への対応について独自に弁護士を雇うよう告げられ、他方で団交の日程をどのように変更したかについては伝えられていなかったのであるから、日程の変更などについて自ら組合に連絡をして確認や調整をする必要があった。それにもかかわらず、会社は、組合に連絡をしないまま、同月19日に団交開催場所に出向くこともなく、その後も、団交の日程や場所などを改めて調整すべく組合に連絡することはなかった。このような会社の対応は、団交を拒否したと評価されてもやむを得ないものである。
2 会社が組合に対し、X2の組合加入を示す書類等を求めたことについて
 組合は、会社代理人が24年3月28日付けで組合に対し、「受任通知」を送付し、X2が組合に加入したことが分かる書類等の提出を求めたことは組合の運営に対する支配介入であると主張する。
 しかし、「受任通知」の記載内容からすれば、会社代理人は組合に対し、上記書類等の交付について単に協力を求めたものと解するのが相当であって、当該交付を団交開催の条件とする意図をもって求めたとみることはできない。
 したがって、組合の上記主張は採用できない。 
掲載文献   

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