概要情報
事件名 |
株式会社群馬経済新聞社 |
事件番号 |
群労委平成25年(不)第1号 |
申立人 |
群馬合同労働組合 |
被申立人 |
株式会社群馬経済新聞社 |
命令年月日 |
平成26年1月9日 |
命令区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が平成24年度賞与を全従業員に支給しなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
群馬県労委は、申立てを却下した。 |
命令主文 |
本件申立てを却下する。 |
判断の要旨 |
本件救済申立てがなされた後、被申立人会社の従業員で結成された申立人組合の分会員全員が組合から脱退し、会社には組合員が1人もいないという状況になった。こうした状況が救済内容に及ぼす影響については、以下のように解される。
労働組合の求める救済内容が組合員個人の雇用関係上の権利利益の回復という形をとっている場合には、たとえ労働組合が固有の救済利益(組合員個人の権利利益の侵害の組合活動一般に対する抑圧的・制約的・支配介入的効果を除去するための救済を受けることによる利益)を有するとしても、当該組合員の意思を無視して実現させることはできないと解するのが相当である。
したがって、当該組合員が、積極的に、上記権利利益を放棄する旨の意思表示をなし、又は労働組合の救済申立てを通じて同権利利益の回復を図る意思のないことを表明したときは、労働組合は上記のような内容の救済を求めることはできないと解釈すべきである(最高裁第三小法廷昭和61年6月10日判決)。
本件において組合の求める救済内容は、元分会員を含めた全従業員に対し会社が平成24年度賞与を支払うことであり、組合員個人の雇用関係上の権利利益の回復という形をとっている。そして、元分会員はその総意として、当該賞与の問題は訴訟で解決することとし、労働委員会に対する救済申立てを取り下げるよう組合に求めている。したがって、これが上記の「組合員が、積極的に、上記権利利益を放棄する旨の意思表示をなし、又は労働組合の救済申立てを通じて同権利利益の回復を図る意思のないことを表明したとき」に該当することは明らかであり、組合は24年度賞与の支払を求めるような内容の救済を求めることはできない。
よって、当委員会は、元分会員の意思を無視して賞与を支払う旨の救済命令を発することができない以上、本件賞与不支給が不当労働行為に該当するか否かを判断するまでもなく、元分会員に係る申立てについては却下せざるを得ない。 |
掲載文献 |
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