労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  関鉄土浦タクシー(株) 
事件番号  茨労委平成24年(不)第4号 
申立人  自交総連関鉄タクシー労働組合、X1(個人)、X2(同) 
被申立人  関鉄土浦タクシー株式会社 
命令年月日  平成25年12月19日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が①組合員X1ら2名に対し、定年退職後の嘱託契約を結ばなかったこと、②申立人組合からの3回の団交申入れに応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 茨城県労委は会社に対し、X1ら2名を嘱託職員として引き続き雇用しているものとして取り扱うことを命じるとともに、会社が平成24年5月2日付けの団交申入れに応じなかったことは不当労働行為に当たることを確認し、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人関鉄土浦タクシー株式会社は、申立人X1、同X2を、平成24年7月11日以降、嘱託職員として引き続き雇用しているものとして取り扱わなければならない。
2 被申立人が、申立人自交総連関鉄タクシー労働組合による平成24年5月2日付けの団体交渉申入れに対し、速やかに団体交渉に応じなかったことは、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たることを確認する。
3 その余の申立ては、いずれも棄却する。 
判断の要旨  1 組合員X1ら2名に対する再雇用拒否について
(1)被申立人会社が主張する再雇用拒否の理由について
 認定した事実によれば、会社においては、健康上特に問題がある場合を除き、65歳定年退職後も本人が希望すれば、嘱託職員として再雇用されるのが通例となっており、本件再雇用拒否が伝えられた当時、両名が再雇用されることについて合理的な期待を有していたと考えるのが相当である。
 会社は、経営状況を改善するため、X1らが勤務していた学園エリアにおいては売上不振や早退・遅刻が多いといった成績不良者については再雇用の対象としない方針であったこと、その学園エリアで勤務する運転手であったX1らが成績不良者に該当したため、再雇用を拒否したと主張する。
 確かに両名の売上成績が良好ではなかったことは否定できず、また、成績不良の原因として両名が他の乗務員よりも早めに乗務を終了させた勤務日があったことについては両者の主張に大きな隔たりはない。しかし、会社が各乗務員に対して、所定労働時間について十分な周知や適切な管理を行っていたかどうか疑問なしとしない。また、会社はX1らが就業時間を守らず、売上成績が振るわなかったことを以前から承知していたにもかかわらず、両名に対して特段の注意や指導をしておらず、このような対応ははなはだ不自然なものである。さらに、X1らの歩合制による給与支給額は学園エリアのの乗務員全体の4分の3以上には達しており、両名よりも売上成績が悪い者も数名見受けられることも考えると、両名の勤務状況が再雇用しがたいほど不良なものであったとまでは認められない。
 そうすると、本件再雇用拒否に関して会社が主張する理由は、不自然で首肯しがたいものであるといわざるを得ない。
(2)会社の組合嫌悪について
 以下のような事情を総合すると、会社は申立人組合を嫌悪していたものと考えられる。①組合は賃金や労働時間の問題等について会社と再三にわたり団交等を行うなど、申立外別労組と比べ積極的な活動を行ってきたこと。②組合の組合員らが労基法等の違反に関する事項を労働基準監督署などに申告し、会社が調査や指導を受けていること。③X1らを含む組合員16名が時間外割増賃金の支払を求め、簡易裁判所に調停の申立てを行っていること。④組合の組合員数が増え、別労組との所属人数の差が小さくなっていたこと。⑤本件再雇用拒否の10日前に組合員X3が会社から嘱託契約の再契約を拒否されたことを受け、組合が会社に当該再契約の締結や説明を求めていること。
(3)結論
 前記(1)及び(2)を勘案すると、本件再雇用拒否の主な理由は、X1らが中心となって行われてきた組合活動を嫌悪した会社が両名を職場から排除し、組合を弱体化しようとするものであったと考えるのが自然である。以上のとおり、X1らは定年退職後も通例どおり嘱託職員として再雇用されることについて合理的期待を有していた状況であったにもかかわらず、会社は両名を組合に対する嫌悪感から再雇用しなかったものであると認められるから、本件再雇用拒否は労組法7条1号の不当労働行為に該当する。
2 団交拒否について
 平成24年5月2日付けの団交申入れに対し、会社は協議事項のうち1月19日回答書の件は「回答のとおり」であり、3月22日要求書の件は「団体交渉済み」であるので、団交は必要ないと回答している。しかし、1月19日付け回答の中には具体性に欠ける記述や団交軽視と受け取られかねない記述も見受けられる。3月22日要求書についても、会社が5月2日付け申入れ以前に誠実に団交を行っていたかどうかは疑問であり、組合がこれらの回答や説明を不十分と感じ、再度団交を申し入れたのも無理からぬところである。
 そうすると、会社が5月8日付け回答書において「必要ないと判断します」と述べ、その後速やかに団交を開催しなかったことについては、正当な理由なく団交を拒否したものと評価せざるを得ない。
 24年6月6日付け及び6月27日付けの団交申入れに関して、会社は総務部長が民事調停等の対応で多忙であったことから、団交の開催を遅らせてほしいと回答したもので、団交を拒否したものではないと主張する。これについては、組合員16名分の過去2年分の勤務状況に関する資料を作成することは、相当程度の時間と労力を要するものであったと判断せざるを得ない。
 また、団交は「調停が一段落」してからにしたいとの会社の回答に関しては、組合から特段の抗議等が行われていないことなどを考慮すると、組合は会社の対応に不満を持ちつつも、ある程度納得していたと考えることも不可能ではない。さらに、会社が団交に応じるようになったのが24年9月10日以降であったことについても、「調停が一段落」したのが同年7月末であったことなどを考慮すると、会社が団交を不当に遅延させた結果であるとまでは評価できない。
 そうすると、6月6日付け及び6月27日付けの団交申入れに関する会社の対応については、労組法7条2号の不当労働行為に当たるとまではいえない。 
掲載文献   

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