労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  国本学園 
事件番号  都労委平成24年不第60号 
申立人  東京私立学校教職員組合連合、国本学園教職員組合 
被申立人  学校法人国本学園 
命令年月日  平成25年11月19日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人法人が授業持ち時間数ゼロ問題等を議題とする団交に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 東京都労委は法人に対し、誠実団交応諾を命じた。 
命令主文   被申立人学校法人国本学園は、申立人東京私立学校教職員組合連合及び同国本学園教職員組合が申し入れた「授業持ち時間数ゼロの専任教員」についての団体交渉を拒否してはならず、速やかに、かつ、誠実に応じなければならない。 
判断の要旨  1 担当授業時間ゼロに係る問題の義務的団交事項該当性について
 被申立人法人は、本件においては担当授業時間がゼロになったことによって組合員X2らの賃金や労働時間は何ら変動しておらず、担当授業時間がゼロになったことは重大な労働条件等の変更とはいえず、それ故、授業時間ゼロ問題は義務的団交事項には当たらないと主張する。
 しかし、一般教科を担当する教員が授業を中心とした職務を行うということは社会通念上当然のことであり、法人の学校においてもそのような取扱いがなされていたことは明白である。したがって、X2らの授業持ち時間数が24年度になって突然ゼロになり、校務のみに携わることになったことは、日常的な軽微な事柄であるとは到底いえない。さらに、法人においてはこれまで授業を有しない教員が担任になった事例はなく、X2らが担任になる蓋然性が低くなったことは否定できないところ、担任手当の支給を受ける可能性も低くなったという意味で賃金への影響もあるといえる。したがって、この点に関する法人の主張は採用することができない。
 法人はまた、各教員について授業を割り当てるなどの職務内容を決定することは、使用者が自らの経営責任と判断の下に決定する事項であるとして、義務的団交事項には当たらないと主張する。
 しかし、使用者が自らの経営責任と判断の下に決定する権限がある事項であっても、労働条件その他の待遇と関連を有する限りにおいて、義務的団交事項であると解すべきであるから、法人の主張は採用することができない。
 以上のとおりであるから、担当授業時間ゼロに係る問題は義務的団交事項に該当しないという法人の主張は採用できず、団交に応じない正当な理由とはなり得ない。
2 団交拒否について
 法人は、申立人組合らの団交申入書は夏季休校期間中に法人の事務長個人に手交されたものであり、また、法人はその前後において組合員X2への業務の委嘱について具体的な話をし、組合らの要望に対して実質的な回答を行っていた旨主張する。
 しかし、法人の理事長宛ての団交申入書が事務長に手交されたことや登校者が少ない夏季休校期間中に団交申入れがなされたことが、組合らの団交申入れに全く回答せず、団交に応じないことを正当化する理由となり得ないことは明らかである。また、法人は、組合要求に応えて委嘱書をX2らに交付し、職務内容を明確化させたことを団交拒否の正当な理由として主張するようであるが、本件において組合らが団交を求めている事項が当該委嘱書の交付によって解決しているとはいえないから、法人が組合らとの団交に応じる必要がなくなったとは到底いえない。
 したがって、法人は正当な理由なく団交申入れを拒否したといえる。 
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約183KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。