概要情報
事件名 |
大阪府労委平成24年(不)第85号 |
事件番号 |
大阪府労委平成24年(不)第85号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
社会福祉法人Y |
命令年月日 |
平成25年11月5日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人法人が組合員の解雇の撤回、原職復帰及び就労可能期間に係る賃金の支払に関する団交に誠実に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 平成24年9月12日開催の団交の後の対応について
申立人組合は、被申立人法人が平成24年9月12日開催の団交において、組合員Cの解雇撤回を検討すると回答した後、①その検討結果について組合に回答することなく、同年10月4日に同人と復職に関する話合いを行い、②派遣会社と契約して同人の元の職場に人員を補充し、③同人に対して原職復帰はできないと通告したことは、上記団交を無意味化するものであって、不誠実団交に当たる旨主張する。
しかし、認定した事実によれば、上記の団交の結果、法人がCの復職の可否を決するため診断書の提出を前提として解雇の撤回を検討することとなったとみるのが相当であり、復職の可否について記載された診断書の提出がされていない状況で、法人が組合に対して解雇の撤回についての検討結果を回答することなく、同人から就労可能性について聴取したことをもって不適切な対応とみることはできない。
また、法人においてはCの欠勤に伴い人員確保が必要な状況が生じていたと推認され、同人が従事していた業務に係る人員を補充した法人の対応については無理からぬところがある。
法人がCに原職復帰はできない旨通告するに際しては組合に解雇撤回についての検討状況を連絡することが望ましかったともいえるが、当該通告の際に組合から、そのような連絡がなかったことについて抗議等が行われたとの疎明はなく、当事者間で連絡の齟齬が問題視されていたとはみられない。
以上のことを併せ考えると、法人が上記の団交を無意味化させたとまでみることはできず、その対応は不誠実団交には当たらない。
2 平成24年11月12日及び11月21日開催の団交について
組合は、法人が①11月12日の団交においてCの原職復帰等に関する協議を拒否したこと、②11月21日の団交において同人の配置転換後の労働条件以外の事項について協議を拒否したこと及び代理人弁護士が法人の理事長らに一切発言させなかったことが不誠実団交に当たる旨主張する。
しかし、①については、11月12日の団交において交渉は行き詰まり状態に達したとみるのが相当であり、法人が組合の要求を受け入れなかったことをもって、法人が協議を拒否したものとみることはできない。
②については、11月21日の団交においてCの原職復帰等に関し、組合が法人に対して何らかの事情の変更を示したと認めるに足る疎明はなく、11月12日の団交において既に行き詰まりの状態に達していた議題について法人が格別の回答をしなかったとしても、その対応は不誠実団交には当たらない。また、団交出席者については、当事者が自主的に定めるべき固有の権限に属するものであると解されるところ、仮に理事長が発言しなかったとしても、その対応は不誠実団交には当たらない。 |
掲載文献 |
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