労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  たかまつ食品 
事件番号  石労委平成25年(不)第1号 
申立人  全国一般石川地方労働組合 
被申立人  たかまつ食品株式会社 
命令年月日  平成25年10月22日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社で勤務していた従業員X2は、会社の社長から辞めてほしい旨通告され、退職証明書の交付を受けたが、解雇に納得できず、申立人組合に加入した。本件は、①X2の解雇撤回を議題とする2回の団交における会社の対応、②会社がその後の団交申入れに応じようとしないことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 石川県労委は会社に対し、誠実団交応諾を命じた。 
命令主文   被申立人は、下記事項について、申立人との団体交渉を拒否してはならず、誠実に交渉に応じなければならない
① 申立人の組合員X2の地位の確認及び未払賃金の支払い
② 申立人の組合員X2の時間外労働賃金の支払い 
判断の要旨  1 団交における被申立人会社の対応について
 申立人組合は2回の団交において、①組合員X2の解雇撤回、②解雇撤回ができないのであれば、解雇予告手当を含む解決金を支払うこと、③X2に対する時間外労働賃金の支払についての検討を求めたことが認められる。これに対し、会社は解雇ではなく勧奨退職であるとの主張や残業の事実はないとの主張をして組合の要求を拒否する理由を述べてはいるが、資料などの具体的根拠を示して理由を説明するなど組合が理解、納得できるように真摯な努力を尽くしたとは到底認められず、会社の交渉態度は不誠実なものといわざるを得ない。よって、かかる会社の対応は、労組法7条2号の不当労働行為に当たる。
2 団交申入れに対する会社の対応について
 会社は、2回の団交において誠実に交渉してきたにもかかわらず、組合が不合理な主張を繰り返すため団交申入れを断ったのであるから、不当な団交拒否には当たらないと主張する。
 しかし、前記1で検討したとおり、団交における会社の交渉態度は誠実なものとは認められず、また、双方が自己の主張や提案を出し尽くしたとも認められない。
 会社はまた、組合が提出したX2の時間外労働時間集計表について訂正前と訂正後とで齟齬があること等や、従前は従業員としての地位確認を求めていなかったにもかかわらず、本件救済申立てにおいて突然それを求めることに合理的な理由がないことから、団交を拒否しても不当ではないと主張する。
 しかし、上記集計表における訂正前と訂正後の違いはX2の単なる記憶違いによるものと考えられることなどからすれば、組合の請求が不合理か否かを判断するための重要な要素とは考えられない。また、地位確認を求める請求をしたことは、X2が離職理由について当初から納得がいかないと考えていたことや解雇撤回の請求を放棄する旨の意思を表明した事実は認められないことからすれば、何ら不合理とはいえない。よって、会社の団交拒否について正当な理由があるとはいえず、会社の対応は労組法7条2号の不当労働行為に当たる。 
掲載文献   

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