労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  越原学園 
事件番号  愛労委平成24年(不)第4号 
申立人  名古屋女子大学中学校高等学校教職員組合、愛知県私立学校教職員組合連合 
被申立人  学校法人越原学園 
命令年月日  平成25年10月30日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人法人が①平成22年度及び23年度の一時金等を議題とする団交に速やかに応じなかったこと、②一時金削減に関して十分な資料の提示及び説明を行わないこと、③申立人組合(単組)の組合員に対してのみ定例支給日に一時金を支払わなかったこと、④単組の組合員には定例支給日に支払わないことを法人の全専任教員に対して周知したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 愛知県労委は法人に対し、1 団交申入れがあった場合は速やかに交渉に応じること、2 法人の財務状況を示す資料の交付及び説明、3 文書の交付・掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人らから団体交渉の申入れを受けた場合、直ちに諾否を回答するとともに、申入れを受けた候補日時に応じられない正当な理由があるときは、その理由及び応じられる複数の候補日時を示した上で、速やかに交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人らとの平成22年度及び23年度の一時金に係る団体交渉において、少なくとも平成21年度及び22年度の資金収支計算書(内訳表を含む)、消費収支計算書(内訳表を含む)及び貸借対照表を交付するとともに、自己の財務状況と一時金削減の必要性との関係につき根拠となる資料を提示し具体的に説明して、誠実に交渉に応じなければならない。
3 被申立人は、申立人らに対し、本命令書交付の日から7日以内に、下記内容の文書を交付するとともに、同内容を縦1.5メートル横1メートルの大きさの紙に記載し、名古屋女子大学高等学校内及び名古屋女子大学中学校内の教職員の見やすい場所に、それぞれ2週間掲示しなければならない。
(記 省略)
4 その余の申立ては棄却する。 
判断の要旨  1 団交拒否について
 申立人組合(単組)が平成23年3月4日から同年12月19日までの間に計15回の団交申入れを行ったのに対し、被申立人法人は通算6回目の団交申入れを除き、単組の提示した候補日について単に「差し支え」又は「業務多忙」とのみ答え、当該候補日での団交に応じていないこと、代替日の提案も申入れから最短でも1か月程度は要していたことが認められる。これらのことからすると、法人は団交申入れに対して誠実に応えようとの意思を基本的に有していなかったものと思料され、「差し支え」又は「業務多忙」は団交回避の口実に過ぎないと考えざるを得ない。結局、当初申入れから団交開催までに約1か月ないし約4か月を要しており、法人の対応が団交開催を引き延ばすという不誠実なものであることは明らかである。
 特に本件における交渉事項は平成22年度及び23年度の一時金であって、これらは例年の支給日が7月・12月と定まったものであり、交渉期限におのずと制約が生じる内容のものであることからすれば、団交が可及的速やかに行われることが求められるにもかかわらず、法人は適切な時期に団交を行うことを拒んだものといえる。
 以上のとおり、法人は計15回の団交申入れに速やかに応諾せず、適切な時期に団交を行うことを拒んだと認められることから、当該行為は労組法7条2号の団交拒否に該当するものである。
2 資料の提示及び説明について
 法人は団交において、一時金減額の理由の説明は22年7月16日付け又は23年7月11日付けのメールで尽きているとして、何ら補充的な説明をせず、また、組合が繰り返し要求した財務三表を始めとする法人の財務状況を示す資料の提示についても、これに応じなかったことが認められる。
 組合は、法人が一時金削減の理由として財政事情を挙げていたため、財務状況を知るべく資料を要求し、説明を求めたものであり、それ自体はもっともな経過であるから、法人がその必要性を否定することに合理的な理由は認められない。法人は学報を提示するなどの努力をしたと主張するが、そこに記載されている情報は極めて概括的なものであり、かつ、単年度のものであって、法人の財務状況が一時金を削減する必要が生じる程度に悪化しているか又はその見込みがあるかを知ることは困難である。よって、法人が必要な資料の提示を行ったと認めることはできない。
 法人は、組合に対して財政等の将来見通しを繰り返し説明した旨主張するが、法人の今後の財務状況が一時金削減の必要性とどう結びつくのかについて説明した事実を認めることはできず、当該主張は採用できない。
 法人はまた、使用者の誠実交渉義務の内容として義務付けられているのは、自らの主張の根拠となる資料を提出し、説明することであって、労働組合の要求する資料一切を提出することではない旨主張するが、そうであれば、自己の財務状況の推移を把握できる資料を提出し、説明することが当該誠実交渉義務の内容となるはずであり、これに応じない理由は認められない。
 以上、法人は団交において必要な資料の提示及び具体的な説明を行わなかったと認められることから、当該行為は労組法7条2号の不誠実団交に該当するものである。
3 定例支給日に一時金を支払わなかったことについて
 法人は、定例支給日に一時金を支払わなかったのは、平成20年3月における不当労働行為救済申立ての経緯から、再び本件において申立てがなされることが懸念されたからであると主張する。
 確かに、法人が単組組合員に対して非組合員と同日の定例支給日に法人の方針による額の一時金を支払った結果、組合が申立てを行った事実が認められるが、これは妥結に至らないまま一方的に支払われたことを組合が問題として行ったものであるから、本件においてそのような懸念があるのであれば、支給日までに団交を重ねて妥結の道を探るのが本筋であるところ、法人は団交を実施しないまま漫然と支給日を迎えて支払わないという選択をしたものであり、その対応に何ら合理性を見出すことはできず、当該主張は失当である。
 法人はまた、定例支給日前に組合に対し、法人が決定した一時金の額で妥結するか否か(予定された支給日に一時金を受領するか否か)を確認した結果、組合が当該提案に応じなかったため、その意思を尊重したと主張する。
 しかし、かかる法人の提案は要するに団交抜きでの法人の提示額の了承を迫るものであって、組合がこれに応じられないのはもっともなことである。法人の主張は、これを逆手にとって自らの不支給を正当化しようとするものであり、自己に都合のよい論理展開であって、到底採用できない。
 以上、法人が単組組合員に対してのみ定例支給日に一時金を支払わないことに正当な理由は認められず、当該不支給は単組組合員であるが故の差別と認められることから、当該行為は労組法7条1号の不利益取扱いに該当するものである。
4 単組組合員に定例支給日に一時金を支払わないことを全専任教員に周知したことについて
 法人が単組組合員に定例支給日に一時金を支払わないことをメールで全専任教員に周知したことにより、非組合員は単組組合員になれば定例支給日に一時金が支給されなくなるとの認識をもつこととなり、当該メールは単組への加入をためらわせる要因となる。また、単組組合員の中に不利益を懸念して脱退する者が生じることも考えられ、いずれにしても、上記の一時金不支給の周知は単組の運営に少なからぬ影響を及ぼすものといえる。
 一方、単組と法人との間の三役折衝における一時金支給をめぐるやりとりをみると、法人が組合を軽視していることが明らかであり、その他法人の組合に対する日常的対応からみても、法人が日頃から組合に対する嫌悪の情をもっていたことが窺える。上記のメールがこのような事情を背景に送信されたものであり、かつ、前述のとおり単組の運営に少なからぬ影響を及ぼすものであることからすれば、法人に反組合的意思があったことが優に推認される。
 以上、法人が単組組合員に対する一時金不支給を全専任教員に周知したことは、組合の団結及び運営に介入したものと認められるため、当該行為は労組法7条3号の支配介入に該当するものである。   
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約306KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。