労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  グリーンサービス 
事件番号  都労委平成22年不第90号 
申立人  全国一般三多摩労働組合 
被申立人  グリーンサービス株式会社 
命令年月日  平成25年10月1日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   ①被申立人会社の職制による組合員に対する労働組合結成等についての発言、会社が②組合旗を撤去したこと、③組合員の残業となる配車を減少させたこと、④組合員の残業時間を分単位としたこと、⑤賃金切下げ及び未払賃金の問題を団交の議題から外すことを提案したこと、⑥不当労働行為の原因究明等の合意事項を遵守しないこと、⑦営業所間の車両移動について事務折衝を行わなかったこと、⑧上記④の措置を協議中に実施したことが不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は会社に対し、1 組合員の配車を少なくするなどの差別的取扱いの禁止、2 組合員3名に対する、配車差別がなければ得られたであろう賃金相当額と支給済み賃金額との差額の支払、3 文書の交付・掲示、4 履行報告を命じるとともに、申立ての一部を却下し、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人グリーンサービス株式会社は、申立人全国一般三多摩労働組合の組合員らに対し、組合員が所属していない営業所の従業員と比較して、残業となる配車を少なくするなどの差別的取扱いをしてはならない。
2 被申立人会社は、申立人組合の組合員X2、同X3及び同X4に対し、平成21年9月2日以降に残業となる配車について差別がなければ得られたであろう賃金相当額と、既に支給済みの金額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の従業員らの見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
(記 省略)
4 被申立人会社は、第2項及び第3項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
5 21年9月1日以前の残業となる配車及び会社職制の発言に係る申立てを却下する。
6 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社の職制らの発言について
 平成21年9月17日の職制らの発言は、いずれも労働組合の結成ないし加入について再考を促しているものであり、発言者の地位並びに申立外組合A(21年8月に会社のP営業所の従業員らによって結成された労働組合。申立人組合の前身であるもの)の結成直後であるという時期を考えれば、支配介入に当たるものといえる。9月19日の発言についても同様である。
2 組合旗の撤去について
 会社が申立外組合B(申立外組合Aが21年12月に加入した労働組合。加入後、AはBのD支部の分会となり、その後25年5月、同支部がBから独立して申立人組合となった。)に自主的に撤去するよう要請したが、Bが組合員のいない会社本社に組合旗を掲揚したまま立ち去ったという経緯のあること、及び本件労使間において、会社が組合旗の掲揚を受け入れなければならない慣行や協約もないことを考えれば、組合旗を撤去し返却したことのみをもって、組合活動に対する支配介入に当たるということはできない。
3 残業となる配車の減少について
 会社は、Aの結成及びこれへの従業員の加入を嫌悪し、組合員X2が会社の実施したアンケートに休息時間について記入していたことを奇貨として、組合員には残業となる配車を組合員のいないQ営業所より少なくすることにより収入を減少させ、同組合から脱退させることを図ったものといえ、このことは同組合を結成したことあるいは同組合の組合員であるが故の不利益取扱い及び同組合の弱体化を図った支配介入に当たる。
4 組合員の残業時間を分単位としたことについて
 会社は、組合員のいないQ営業所についても残業時間を分単位としており、また、そもそも分単位とする措置はBの要求を受け入れたものであるから、組合員とそれ以外の者を差別していない以上、組合員に対する不利益取扱い又は組合活動に対する支配介入に当たるとはいえない。
5 団交における会社の対応等について
 賃金切下げ及び未払賃金の問題を団交の議題から外すことを提案したことについては、会社はその提案後も団交に応じており、提案をしたことのみをもって団交拒否に当たるとはいえない。
 不当労働行為の原因究明等の合意事項を遵守しないことについては、会社はどのような行為が不当労働行為に当たるかを直ちに管理職に周知徹底することを約し、それを実施しており、合意を遵守していないとはいえない。
 営業所間の車両移動について事務折衝を行わなかったことについては、当初Bの都合により事務折衝の期日が決まらなかった経緯があり、結局、車両移動は行われず、その後、組合が車両移動について事務折衝の開催を求めたとの事実の疎明もないのであるから、事務折衝を行わなかったことが不誠実な団交に当たるとはいえない。
 組合員の残業時間を分単位とする措置をBとの協議中に実施したことについては、前記4のとおり、組合のいう差別にも当たらず、また、Bがこのことについて団交を申し入れた、あるいは議題として協議した事実の疎明もないのであるから、組合の主張はBと妥結しないままに実施したことを非難していることに帰するのであって、このことをもって不誠実な団交に当たるということはできない。 
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約305KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。