労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成24年(不)第61号 
事件番号  大阪府労委平成24年(不)第61号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成25年10月7日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   CはZ企業組合に加盟して被申立人会社とZとの運送契約に基づき、会社の生コンクリートの運送を行っていたが、平成24年5月、会社から今後は運送業務を依頼しない旨の通知を受け、その後、申立人組合に加入した。本件は、会社が組合からの団交申入れに対し、Cは労組法上の労働者には該当しないとして応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は会社に対し、団交応諾を命じた。 
命令主文   被申立人は、申立人が平成24年5月22日付けで申し入れた団体交渉に応じなければならない。 
判断の要旨  1 組合員Cの労働者性について
 以下の各要素を総合的に判断すると、Cは被申立人会社との間において使用従属の関係に立ち、その指揮監督の下に労務に服し、労働の対価としての報酬を受け、これによって生活する者とみるのが相当である。したがって、Cは労組法上の労働者に該当すると判断される。
①Cはその業務実態からみて、会社の事業遂行に不可欠ないし枢要な労働力として会社の事業組織に組み入れられていたと判断される。
②Cが提供する労務の内容については、会社が一方的・定型的に契約内容を決定していたと判断される。報酬については、会社が一方的に決定していたとまではいえない可能性があるものの、Cが単価の切下げに応じたことからみて、対等な立場であったとはいい難い。
③Cの報酬については、日額制であることや毎月、定期的に支払われていることからみて、労務対価性があったと判断される。
④Cは、会社からの運送に関する依頼に基本的に応じるべき関係にあったとみるのが相当である。
⑤Cは、会社の指揮監督下で労務提供を行い、労務の提供に当たり一定の時間的拘束を受けていたとみるのが相当である。
⑥Cはコンクリートミキサー車を所有して業務を行い、その経費を負担しているが、そのことのみによって同人が顕著な事業者性を有しているとまではいえない。また、Cは会社及びその前身である旧会社以外の運送業務に従事したことがなく、同人が会社以外の企業に対し、発注を持ちかけるなどの営業活動を行ったり、他の者を雇用して運送業務に従事させたりしたとする疎明もない。したがって、Cが顕著な事業者性を有しているとはいえない。
2 会社がCの雇用についての団交申入れに応じないことについて
 会社は団交に応じない理由として、Cが労組法上の労働者には当たらないことを挙げていた。しかし、前記1の判断のとおり、Cは労働者に該当するのであるから、上記理由は団交申入れに応じない正当な理由とは認められない。
 したがって、会社は正当な理由なく団交申入れに応じなかったと判断され、かかる行為は労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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