概要情報
事件名 |
大阪府労委平成24年(不)第86号 |
事件番号 |
大阪府労委平成24年(不)第86号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
医療法人Y |
命令年月日 |
平成25年9月27日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人法人で勤務していたCは、平成24年11月24日、即日解雇された。同月26日、申立人組合は法人に対し、Cが組合に加入した旨の通知書及び同人の解雇等を協議事項とする団交申入書を送付した。組合は、同年12月4日、法人本部を訪問し、上記通知書及び団交申入書を法人の理事長に手渡そうとしたが、同人は受取りを拒否した。本件は、法人の上記のような対応は正当な理由のない団交拒否であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は法人に対し、団交応諾を命じた。 |
命令主文 |
被申立人は、平成24年11月26日付け及び同年12月4日付けで申立人から申入れのあった団体交渉に応じなければならない。 |
判断の要旨 |
被申立人法人は、本件団交申入れについて、団交に応じるべき相手か否かを確認するため、検討していただけであって、団交を拒否した事実はない旨主張する。
しかし、法人は、ファクシミリを受信して団交申入書等の内容を認識していたにもかかわらず、その後、簡易書留で郵送された団交申入書等の受取りを拒否した。また、法人の理事長は、平成24年12月4日、申立人組合に対し、団交申入書等の受取りを拒否するとともに、団交を受ける気がない旨述べている。さらに、法人は、何を検討していたのかについて具体的に主張せず、また、組合に対し、検討中であるので団交開催日を延期してほしい旨の連絡をしたなどの事実も認められない。
以上のことからすると、法人は、団交申入れの直後から団交に応じるつもりはないとの態度を明確に示していたとみるのが相当であり、本件申立てが同年11月26日の団交申入れから約10日後に行われていることを考慮しても、この間「検討中」であって、団交を拒否したものではない、との法人の主張を採用することはできない。
法人はまた、組合からの一方的なファクシミリ送付と電話に戸惑いと怖さを感じ、得体の知れない組織にまともに対応することを恐れたことが団交に応じなかった理由である旨主張する。
しかし、団交申入書等には組合の連絡先として住所や電話番号も明記してあり、また、法人が組合に対して恐怖を覚える根拠となるような記載は一切認められない。組合から法人への電話の内容や組合員らが法人本部を訪問した時の行動が法人に恐れを抱かせるようなものであったとの疎明もない。
以上のことからすれば、上記の法人の主張を団交拒否の正当な理由として認めることはできない。
法人は、組合のホームページの記載等から、組合の行為を非難するが、このことは不当労働行為の成否の判断に影響を与えるものではない。
以上のとおり、法人に団交拒否の正当理由は認められないので、本件団交申入れに対する法人の対応は正当な理由なく団交を拒否しているものであり、労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 |
掲載文献 |
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