労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  兵庫県労委平成21年(不)第10号・第13号 
事件番号  兵庫県労委平成21年(不)第10号・第13号 
申立人  X労働組合 
被申立人  株式会社Y、株式会社Z 
命令年月日  平成25年8月20日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社Yの代表取締役であったY2は申立外会社Aの代表取締役も務めていたが、平成21年3月、同社の従業員らが申立人組合に加入し、組合の分会を結成した。以後、組合とAとの間で数回にわたり団交が行われたが、同社は同年9月30日をもって解散した。その後、22年3月、Y2を代表取締役とする被申立人会社Zが設立された。組合は、23年1月及び6月、Zに対し、Y及びAの事業を承継した会社として、Aを解雇された組合員の原状回復について責任をもつこと等を議題とする団交を申し入れたが、Zはこれに応じなかった。
 本件は、①組合が21年9月3日に行った、Aの解散・全従業員解雇の通告の撤回等を議題とする団交の申入れにY及びAが応じなかったこと、②Aが解散し、組合員を解雇したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。組合は当初、Y及びAを被申立人としていたが、後にZを追加する申立てを行い、Aに係る申立てを取り下げた。
 兵庫県労委はY及びZに対し、1 組合員7名を両社のいずれかにおいて解雇時点での原職相当職に就労させること及びバックペイ、2 解雇後に死亡した組合員の相続人に対する金員(バックペイに相当するもの)の支払、3 文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社Y及び同株式会社Zは、申立人X労働組合の組合員X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8に対し、次の措置を講じなければならない。
(1) 被申立人株式会社Y及び同株式会社Zは、両者のいずれかにおいて、上記組合員7人が申立外株式会社Aから解雇された時点での原職に相当する職務(以下「原職相当職」という。)に直ちに就労させること、又は原職相当職での就労機会を与える事業者を当該事業者の了承を得た上で書面により提示すること。
(2) 被申立人株式会社Y及び同株式会社Zは、上記組合員7人に対し、連帯して平成21年10月1日から上記(1)の就労又は提示までの間の賃金相当額(申立外株式会社Aが平成21年7月から同年9月までの間に支払った賃金の1か月当たりの平均額を1か月分の賃金相当額として計算した額。次項において同じ。)に年5分の割合による金員を加算して支払うこと。
(3) 上記組合員7人の労働条件については、申立外株式会社Aが当該組合員を解雇した時点と同程度のものとすること。
2 被申立人株式会社Y及び同株式会社Zは、申立人X労働組合の組合員であった故X9の相続人であるX10に対し、連帯して平成21年10月1日から平成24年9月20日までの間、故X9が申立外株式会社Aに雇用されていたとしたなら支払われるべき賃金相当額に年5分の割合による金員を加算して支払わなければならない。
3 被申立人株式会社Y及び同株式会社Zは、本命令書写し交付の日から7日以内に、下記文言を記載した文書を申立人X労働組合に手交しなければならない。
(記 省略)

4 その余の申立ては棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社Yが平成21年9月3日付け団交申入れに応じていないことについて
 Yは、会社AとYは登記上別会社であり、親子会社の関係にもなく、連結決算も行っておらず、さらに専属的取引関係があるわけでもなく、YがAを現実的統一的に管理支配していたわけでもないことから、YはAの従業員の使用者には当たらないと主張する。
 しかし、両社は両社の創業者であるY2及び両社の株主又は役員であるその親族が各種の事業経営を遂行するための手段として設立し経営する会社であり、実質的にY2一族の下で一体性をもつ経営体を構成していたのであって、その中でAはYの運輸部門として機能していたものと認められる。そうすると、両社は申立人組合との団交に共同して応じるべきであって、Yは労組法7条の使用者として認めるのが相当であり、YはAの解散及び組合員の解雇について正当な理由なく団交に応じなかったものであるから、同条2号の団交拒否に該当すると判断する。
2 YがAの解散を理由として組合員を解雇したことについて
 Aの解散が決定された平成21年8月頃、リーマンショックの影響からAの売上高が減少したことは否めないものの、Y2一族の下で一体性をもった経営体としてみると、Yの運輸部門として機能していたAが直ちに解散しなければならないほど財務状況が悪化していたと認めることはできない。一方、Aが解散を決定した時期は、組合の分会が結成され、Aが団交を開始してからわずか5か月後である。その間、Aは手当のカットを従業員に通告したが、組合の要求により撤回せざるを得なくなり、また、夏季一時金の不支給等についても合意のめどが立たないという労使関係が非常に緊張した状況にあったことが認められる。そして、21年3月に組合がAの本店事務所を訪問した時、同社の取締役が組合の申入れに応じようとせず、警察署に通報したこと等が認められ、同社は組合結成以来一貫して対決姿勢をとっていたことが認められる。
 以上のことからすると、Aの解散及び組合員の解雇は、一体性をもつ経営体を構成していたY及びAが不当労働行為意思に基づき、Aを解散して組合及び組合員の排除を行ったものと認めることができる。したがって、労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当すると判断する。
3 被申立人会社ZはYの不当労働行為責任を承継したかについて
 Zは、本件不当労働行為時において存在しなかったものの、Y2一族の下でYと一体性をもった経営体を構成しており、同社から鉄関連業務を実質的に引き継いでいると認められることから、Zも本件不当労働行為の責任を負わなければならない。 
掲載文献   

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