概要情報
事件名 |
大阪府労委平成23年(不)第65号 |
事件番号 |
大阪府労委平成23年(不)第65号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
学校法人Y、Z高等学校 |
命令年月日 |
平成25年6月21日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合の委員長X1と被申立人Z高等学校の事務長Y3は、平成23年7月13日に組合とZとの間で行われた団交の確認書の案について折衝を行い、同年9月5日、Y3はX1に確認書の修正案を手渡した。しかし、Y3はその後で、今回は確認書に印鑑を押すことができなくなった旨述べ、X1が理由を質すと、証拠になるからと被申立人法人Yに言われている旨述べた。
本件は、①大阪府労委における先行事件(平成18(不)49号)における和解協定書に「団交の確認書については、団交後速やかに締結する」と明記されているにもかかわらず、Zが上記のとおり確認書への押印を拒んだこと、②その後、Zから確認書の修正案が提示されたが、その内容は団交を無視し、確認書の締結を妨害するものであったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委はZに対する申立てを却下するとともに、Yに対し、文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人Z高等学校に対する申立てを却下する。
2 被申立人学校法人Yは、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
X労働組合
委員長 X1 様
学校法人Y
理事長 Y1
当学校法人が行った、貴組合に対する、平成23年7月13日の団体交渉についての確認書の締結に係る対応は、大阪府労働委員会において労働組合法第7条第2号及び同条第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 |
判断の要旨 |
1 被申立人Z高等学校に対する申立てについて
Zは、被申立人学校法人Yの教育機関の1つにすぎず、法律上独立した権利義務の帰属主体と認めることはできないから、Zに対する申立ては却下する。
2 平成23年7月13日開催の団交の確認書の締結に係るYの対応について
被申立人組合とZが平成23年7月13日開催の団交の内容及び到達点を記した文書の作成に向けて作業を行っていたところ、Zは同年9月5日、事務長Y3を通じ、組合に対して確認書案を一旦提示しておきながら、その後にこれを翻し、押印できない旨を告げ、その理由については、Yに証拠になるからと言われている旨述べるほかは明確に説明しなかった。また、Yは、組合から押印拒否の理由を明確に示すよう求める旨の抗議書が送付されても理由について説明をせず、また、態度を翻すことになった理由について説明するなどして誠実に対応することをしなかった。そして、Zが組合に対し、上記確認書案の提示から約1か月半後に、上記団交のやりとりとも、上記確認書案とも異なる内容の新たな確認書案を提示し、この文言の確認書であれば、押印できる旨の対応をしたこと、さらに、同年11月、YがY3を通じて、同年9月5日提示の確認書案中の3項目を削除すれば、締結を考える旨述べたことが認められる。
こうしたYの対応は、上記団交の交渉の内容を明確化し、その到達点を労使が共有しようとする組合の努力に応じる姿勢を示しておきながら、その後に理由を示すことなく、態度を翻したものであって、それまでの組合の努力を無に帰せしめるものであり、ひいては組合とZを通じたYとの団交の意義を失わせるものであるといわざるを得ず、誠実に団交に応じたということはできない。 |
掲載文献 |
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