労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  徳労委平成24年(不)第2号 
事件番号  徳労委平成24年(不)第2号 
申立人  X労働組合Z支部B分会、X2(個人) 
被申立人  Y有限会社 
命令年月日  平成25年5月14日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社で運転手として勤務していたX2は、業務中に交通事故を起こしたことにより、会社から解雇通告を受けた。X2はX労働組合に加入してZ支部のA分会を立ち上げ、会社に対し、そのことを通知した。Z支部と会社との間で団交が行われ、X2に対する解雇通告は撤回された。その後、A分会はX労働組合の他の分会と合同し、Z支部のB分会(申立人組合)となった。
 本件は、①X2が会社に上記の組合加入通知を行った後、会社が同人に対し、運転業務を指示しなくなったこと及び土曜日を休むよう指示したこと、②同人に対する上記交通事故に伴う処分(解雇以外のもの)についての団交における会社の対応は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 徳島県労委は、申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 組合員X2に対し、運転業務を指示しなくなったこと等について
 認定した事実によれば、被申立人会社はX2が本件交通事故を起こした後、同人が組合に加入する前に、同人に対し、手間業務(荷の仕分け作業等)を行うよう指示したことが認められる。したがって、会社がその後、同人に対し、運転業務を指示しなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いではない。
 また、会社がX2に対し、土曜日は休むよう指示したのは、同人らから週40時間の法定労働時間を守るように求められ、週6日勤務を週5日勤務に変更したことによるものと推測される。また、その後、X2らから土曜日の勤務について格別の要求もなかった。さらに、会社は組合加入通知後に要求された団交に速やかに応じ、解雇通告を撤回したことなども認められる。そうすると、X2が日給月給制であることから、土曜日を休むこととなった結果として、給料が減額となったにすぎないものというべきであって、会社の対応からは同人の組合加入を嫌悪してというような不当労働行為意思を推認することはできず、組合員であるが故の不利益取扱いとはいえない。
2 団交における会社の対応について
 認定した事実によれば、会社がZ支部との第2回団交においてX2の解雇を撤回したところ、同支部は同人に対する解雇以外の処分を求め、会社はこれについて検討した上で、次回に伝える旨約束した。それにもかかわらず、会社は、第3回団交において解雇以外の処分について回答しなかったが、これは第2回団交の10日後のことであり、従業員を処分するに当たっては慎重な検討を要するものであることからすると、これをもって直ちに不誠実であるとまではいえない。
 また、会社は、第4回団交において、就業規則に定められた処分を行う意思はなく、X2に対する損害賠償請求訴訟を考えていることをZ支部に伝えているから、会社としては解雇以外の処分を行わない旨の回答をしているというべきである。
 なお、組合は、解雇以外の処分が行われた後はX2が運転業務に復帰できるものとの期待から、その後も解雇以外の処分を求めているが、上記のとおり会社の意思はすでに伝えられており、団交において議論がかみ合わなかったのは、双方の認識の相違に起因するにすぎず、会社の対応が相当性を欠くものとはいえない。
 以上のことから、解雇以外の処分についての団交における会社の対応が不誠実であったとはいえない。 
掲載文献   

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