労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本社会事業大学 
事件番号  都労委平成23年不第4号 
申立人  日本社会事業大学労働組合 
被申立人  学校法人日本社会事業大学 
命令年月日  平成25年5月7日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人法人が、①申立人組合が平成22年10月から23年8月までの間に6回にわたり申し入れた団交(教職員の給与、組合の執行委員長に対するコンプライアンス委員会への呼出し、22年10月14日開催の団交の継続議題、36協定及び就業規則改定手続に関する労働基準監督署長から大学への是正勧告、組合員4名の給与決定に係る前歴換算の内容開示、英語教員の採用並びに組合の副執行委員長X2に対する厳重注意に関するもの)に応じていないこと、②X2に対し、23年7月27日付けで厳重注意をしたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 東京都労委は法人に対し、誠実団交応諾及び履行報告を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人学校法人日本社会事業大学は、申立人日本社会事業大学労働組合が平成22年10月21日、同月29日、23年2月24日、5月16日、6月28日及び8月19日の各日付けで申し入れた団体交渉について、各申入れに係る議題は団体交渉事項に当たらないとして、また、事前協議の開催を条件として拒否をしてはならず、誠実に応じなければならない。
2 被申立人大学は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
3 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 団交拒否について
 申立人組合が申し入れた団交の議題のうち教職員の給与に関すること及び平成22年10月14日開催の団交の継続議題以外のものについては、義務的団交事項に当たるか否か争いがあるが、いずれも労働条件ないし労使関係の運営に関する事項を議題とするものといえる。また、組合と被申立人法人とが締結していた協定によれば、団交の議題については専ら法人が判断するという取決めにはなっていない。
 そうすると、組合が労働条件ないし労使関係の運営に関する事項について交渉を求めているにもかかわらず、団交事項には当たらない旨の自己の主張を書面で提示し、団交に応じない法人の対応は正当な理由のない団交の拒否に当たる。
 次に、教職員の給与に関すること及び22年10月14日開催の団交の継続議題については、法人は自らが提案した事前協議を組合が拒否しているとして団交に応じていない。しかし、団交の前に事前協議を行うとの労働協約を締結しているなどの事情もない中で、組合が事前協議に応じていないことを、団交を拒否する正当な理由に当たると解することはできない。
 したがって、法人が上記の団交に応じていないことは正当な理由のない団交拒否に当たる。
2 組合の副執行委員長X2に対する厳重注意について
 認定した事実によれば、法人は、英語教員であるX2が23年5月31日の期限までに英語の入試問題を作成せず、外部委託せざるを得なくし、この事態について自らの責任を認めていないことを理由として、同人に対し、厳重注意を行い、併せて、同人の上司である学部長及び学長に対し、書面又は口頭による注意を行ったことが認められる。これらの事実によれば、X2が組合の中心人物であるが故に当該厳重注意が行われたと解するには無理がある。その他、本件厳重注意がX2が組合員であること、又は同人の組合活動を理由としてなされたことを裏付けるに足りる事実の疎明もない。
 したがって、本件厳重注意は、X2に対する不利益取扱い又は組合の運営に対する支配介入には当たらない。 
掲載文献   

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