労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成24年(不)第33号 
事件番号  大阪府労委平成24年(不)第33号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成25年5月28日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が①親会社の財政破綻の後、人員削減を行う必要があるとして、組合員1名を解雇したこと、②人員削減を巡る団交において財務諸表の開示を約束したにもかかわらず、後日これを拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は会社に対し、文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年  月  日
  X労働組合
   執行委員長 A 様
Y株式会社
代表取締役 B
   当社が、平成24年1月24日に開催された団体交渉において、当社の銀行口座の明細や財務諸表を開示できる旨発言した後、開示を求める貴組合の要求に対し、応じない旨返答したことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

2 申立人のその他の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合員Cの解雇について
 認定した事実によれば、被申立人会社は平成23年11月に生じた親会社の財務破綻により会社の資金繰りに深刻な影響を受けることから、大幅な経費削減が必要であり、速やかに一定以上の規模での人員削減を行わざるを得ないと判断したと認められる。また、組合員C以外にも従業員9名に対し、Cに対するのと同じ条件を提示して退職勧奨を行い、これら9名はいずれも退職したこと、会社の従業員数が23年12月以降相当程度減少していること等が認められ、会社が上記財務破綻の後、人員削減を進めたことは明らかである。
 また、人員削減の対象者の選定に関しては、会社は比較的年齢が若い者、独身の者、顧客評価が低い者という基準で被解雇者を選定した旨主張するところ、申立人組合との団交においてもこの主張に沿った説明をしていたことが認められる。
 そこで、Cの顧客満足度や適職適性に関して検討すると、会社は同人の組合加入より前から、カスタマーエンジニアとしての適性はなく、顧客満足度は相当に低いと評価していたといわざるを得ない。Cの顧客満足度がその後、大きく上昇したと認めるに足る疎明はなく、本件解雇の直前の時期において会社が同人の顧客満足度を依然として低いと判断したことを不自然であるということはできない。
 次に、組合と会社との関係についてみると、20年12月、会社から退職勧奨を受けたCが組合に加入して以降、当該退職勧奨や同人に対する業務の割当て、基本給の減給等の問題を巡って組合と会社がかなり緊迫した関係にあったというのが相当である。しかし、これらの問題は、21年秋頃までに一定の解決が図られており、本件解雇が当時の退職勧奨等を巡る紛争と直接の関係があるということはできない。
 以上のとおりであるから、本件解雇は、Cが組合員であることや組合活動を行ったこと等を理由としたものとはいえず、また、組合の活動に支配介入したということもできない。
2 財務諸表の不開示について
 平成24年1月24日の団交において会社は、組合からCの退職に係る条件として要求のあった「月額基本給の24か月分の割増金の支払」に関して、Cのみを特別扱いすることはできないし、その余裕もない旨述べるとともに、銀行にお金があれば払うが、お金は実際になく、必要であれば会社の銀行口座の明細を見せてもよいし、貸借対照表等を全部開示できるが、状況は先ほどから説明しているとおりであって、残っているお金からして我々は最大限の提案をしている旨述べたことが認められる。
 これは、会社が組合からの割増金の要求に対し、経営状況が悪化しており、支払う余裕はないとして応じられない旨返答する際に、最大限の提案をしているということの根拠を示すために、自ら、銀行口座の明細や財務諸表の開示が可能であると明言したものといえる。そして、会社は、その後同年2月1日付けの回答書において、親会社は非上場企業で一切の財務諸表を公開しておらず、親会社の許可なく財務諸表等を公開できないなどと回答したことが認められ、上記団交以降に生じた新たな事情により、組合が求める資料の開示ができなくなったとの疎明はない。また、余剰資金の水準や経営状況を説明する資料として、団交で言及した財務諸表等以外で提出可能なものがないか検討したとする疎明もない。
 そうすると、会社は団交議題と密接に関連する資料について開示が可能である旨発言した後に、組合の求めにもかかわらず、特段の事情もなく、それを撤回し、余剰資金の水準や経営状況について誠実に説明しようともしなかったのであるから、かかる対応は、団交において組合の理解を得るために説明を尽くそうとする姿勢を欠いたものというのが相当である。
 以上のとおりであるから、会社の対応は不誠実団交に該当する。 
掲載文献   

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