労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成23年(不)第33号 
事件番号  大阪府労委平成23年(不)第33号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成25年5月28日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社で従業員として勤務していたCは、平成21年10月20日、その言動・態度が服務規律に反するとして譴責処分を受け、同月22日、会社に退職届を提出後、退社した。その翌日、会社の従業員Dは申立人組合の広報活動に使うためとして会社の得意先に関するデータをプリントアウトして社外に持ち出し、Cがそれをもらい受けた。同年11月、組合は会社に対し、Cの組合加入及び分会結成を通知し、会社との団交においてCの職場復帰を要求した。その後、22年9月29日、Dは従業員の昇給等に関するデータをプリントアウトして社外に持ち出した。23年2月、Dはこの事件に係る窃盗の容疑で警察に逮捕され、会社は同年3月、同人に対し、懲戒解雇を通告した。同年4月、D及びCは上記会社の得意先データの社外持出しについて窃盗等の容疑で警察に逮捕され、会社は同年5月、Cに対し、懲戒解雇を通告した。
 本件は、以上のような事実経過を背景に、①Cの譴責処分から職場復帰に至るまでの会社の一連の対応、②C及びDに対する夏季一時金の低額支給、③昇給及び夏季一時金に関する団交における会社の対応、④会社がD及びCに懲戒解雇を通知したこと、⑤上記懲戒解雇に関連する会社の一連の対応、⑥団交で合意した内容を協約化することを会社が後で拒否したこと等は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 申立人組合の分会長Cの譴責処分から職場復帰に至るまでの被申立人会社の一連の対応について
 組合は、会社が会社主張どおりの事実関係を認めなければ、Cの職場復帰を認めないとして、同人に対し、事実確認書及び誓約書の提出を求め続けたことは不誠実である旨主張する。しかし、会社がCの職場復帰の前提として同人の反省を求めたことには相当の理由があるということができ、事実確認書等の提出を求めるとの意向を変更しなかったことをもって直ちに不誠実とはいえない。
 組合は、会社が懲戒処分の可否を検討するとして、Cを呼び出したことについて、同人の労働条件にかかわる事柄であり、団交で協議する事項であるにもかかわらず、直接Cを呼び出したことは組合に対する支配介入に当たる旨主張する。しかし、事前にCに弁明の機会を与えた会社の行為を不当とはいえない。
2 C及び組合員Dに対する一時金の低額支給について
 会社の給与規程によれば、平成22年夏季一時金の支給は21年10月26日から22年4月25日までの間に在職し、かつ賞与支給日に在職する者に対してのみ支給するものである。Cは、21年10月22日、退職届を提出して退社し、22年8月23日に職場復帰するまでの間、実際に出勤していないのであるから、このことを考慮したとする会社の主張は首肯できる。また、Dについては同人に対する支給額が他の従業員と比べて特に低額とまではいえない。したがって、会社が両名に対する夏季一時金の支給について、組合員であるが故に減額したとはいえない。
3 平成22年の昇給及び夏季一時金に係る団交における対応について
 組合は、22年9月3日の団交において会社が昇給要求に対する回答の根拠を示していない旨主張する。確かに同日の団交における会社弁護士の発言をみると、会社の対応は十分とはいえない。しかし、会社は、同月24日の団交において上記会社弁護士の発言は会社のレクチャー不足によるものであったとして謝罪したことが認められ、当該発言のみを捉えて一連の対応が不当労働行為であるとまではいえない。
 また、同年10月18日の団交については、会社からの説明の後、組合が賃上げ交渉の継続を求めたところ、会社は交渉はする旨述べており、会社による一定の説明と今後の交渉継続の合意が行われていることが認められるので、会社の交渉態度が不誠実であったとはいえない。
4 D及びCの懲戒解雇について
 Dの懲戒解雇の理由は、同人が①会社事務所から従業員の昇給等に関するデータをプリントアウトして社外に持ち出したこと、②会社の取引先作成の管理伝票等の資料を無断でプリントアウトして持ち出したこと、③組合の違法活動に対し、上記②などにより情報を提供して加担したこと、④上記①及び②の事実により窃盗罪で逮捕され、会社の名誉・信用を傷つけたことなどとされているところ、いずれも不当とはいえず、会社が懲戒解雇に相当するとしたことを相当性を欠く判断とはいえない。
 Cの懲戒解雇の理由は、Dの上記①~④の行為について共謀・幇助等の関与をしたこと、Dから上記②の資料をもらい受けたこと及びこのため盗品等無償譲受け容疑で逮捕されたことなどとされているところ、いずれも不当とはいえず、会社が懲戒解雇に相当するとしたことを相当性を欠く判断とはいえない。
 以上のことから、本件懲戒解雇は両名が組合員であるが故の不利益取扱いとはいえない。
5 本件懲戒解雇に関連する会社の一連の対応について
 組合は、組合が平成22年12月20日付け通告書及び23年1月1日付け「労使紛争回避を求める緊急勧告」により誠実交渉等を求めたのに対し、会社が同月11日付け回答書により回答した内容は論拠を示して反論するなどの努力義務を果たしていない旨主張する。しかし、会社は同回答書において、多くは既に文書回答済み若しくは口頭説明済みであるが、次回団交において更に継続審議により解決を図る意思に変わりはない旨表明していることが認められ、この表明自体不誠実であるとはいえず、この回答のみをもって上記通告書及び緊急勧告の要求事項に対する会社の対応の当否を判断することはできない。
6 会社が合意事項に係る協定書の調印に応じないことについて
 組合が主張する22年12月3日の団交においては、協約を締結するに足るほどの労使間の合意があったとはいえず、その後も、組合が従業員専用休憩室についての協定書案を提示したのに対し、会社は当該協定書案については同意するので、協定書を締結することに異論はない旨回答するなど、労使間のやりとりが重ねられ、従業員専用休憩室の設置要求については合意に至ったのであるから、上記団交における会社の発言を捉えて誠実交渉義務に違反する不当労働行為であるとする組合の主張は採用できない。 
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