労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本郵便・日本郵便苫小牧郵便局 
事件番号  平成23年道委不第21号 
申立人  郵政産業労働者ユニオン苫小牧支部、同北海道地方本部 
被申立人  日本郵便株式会社、同苫小牧郵便局 
命令年月日  平成25年3月8日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が①申立人組合苫小牧支部から申入れのあった、期間雇用社員3名の雇止めの撤回を議題とする団交を拒否したこと、②組合北海道地方本部から申入れのあった、上記3名中の2名の雇止めに関する団交を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 北海道労委は会社に対し、上記①及び②の団交の応諾、団交拒否による支配介入の禁止並びに文書掲示を命じ、会社苫小牧郵便局に対する申立てを却下した。 
命令主文  1 被申立人日本郵便株式会社は、申立人郵政産業労働者ユニオン苫小牧支部から、平成23年8月29日付けで申入れのあった組合員の雇止め撤回を議題とする団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人日本郵便株式会社は、第1項記載の団体交渉を拒否することにより、申立人郵政産業労働者ユニオン苫小牧支部の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人日本郵便株式会社は、申立人郵政産業労働者ユニオン北海道地方本部から、平成24年2月29日付けで申入れのあった組合員の雇止め撤回を議題とする団体交渉に応じなければならない。
4 被申立人日本郵便株式会社は、第3項記載の団体交渉を拒否することにより、申立人郵政産業労働者ユニオン北海道地方本部の運営に支配介入してはならない。
5 被申立人日本郵便株式会社は、次の内容の文書を、縦1メートル、横1.5メートルの白紙にかい書で明瞭に記載し、被申立人日本郵便株式会社が設置する苫小牧郵便局の従業員出入口の見やすい場所に、本命令書写し交付の日から7日以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。
  当社が、貴組合らに対して行った下記の行為は、北海道労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにします。
  1 郵政産業労働者ユニオン苫小牧支部から平成23年8月29日付けで申入れのあった組合員の雇止め撤回を議題とする団体交渉を拒否したこと。
  2 郵政産業労働者ユニオン北海道地方本部から平成24年2月29日付けで申入れのあった組合員の雇止め撤回を議題とする団体交渉を拒否したこと。
  3 第1項及び第2項記載の団体交渉拒否により、貴組合らの運営に支配介入したこと。
   平成 年 月 日 (掲示する初日を記載すること)
   郵政産業労働者ユニオン苫小牧支部
    執行委員長 X1 様
   郵政産業労働者ユニオン北海道地方本部
    執行委員長 X2 様
日本郵便株式会社
代表取締役 Y1
 
判断の要旨   被申立人会社は、本件団交申入れに対し、交渉議題が本件協約等(申立人組合と会社との間で締結された労働協約及び覚書をいう。)に規定する団体交渉事項ではないとして団交を拒否していることが認められる。ちなみに、本件協約等は団体交渉事項を列記しているところ、個別的人事権の行使に関する事項は列記された団体交渉事項に含まれず、かえって「経営専決事項」として団交の対象から除外されているものと解される。
 そこで、本来は義務的団交事項である個別的人事権の行使に関する事項について、使用者が労働協約により団体交渉事項から除外されていることを理由に、これに係る団交を拒否することができるか否かが問題となるので、この点について検討する。
 まず、憲法28条及び労組法7条が団体交渉権を保障した趣旨に鑑みると、義務的団交事項に関して、単にこれを団体交渉事項から除外するにすぎない取扱いは、たとえ労働協約など労使の合意によるものであっても、これを許容すべきではないことはいうまでもない。しかし、労使自治の観点からは、団体交渉事項の範囲を労使の自律的交渉に委ねることは一切許容されないとすることも相当ではないから、集団的労働条件に関する事項は団交で交渉し、個別的労働条件に関することは苦情処理手続で処理するという取扱いとする場合のように、個別的人事権の行使に関する事項について労働協約に基づき労働組合の関与する苦情処理等の別段の手続に委ねることとし、団体交渉事項から除外している場合、そうした取扱いは、団体交渉権保障の趣旨に反しない限りは許容されるものというべきである。
 これを本件についてみると、本件協約等は「個別的人事権の行使に関する事項」については苦情処理で取り扱わないことを原則とし、「不当に利害を侵害されたと客観的に認められる場合」に限って例外的に取り扱うものとしている。そして、「不当に利害を侵害されたと客観的に認められる場合」について客観的で明確な判断基準が定められているわけでもないため、苦情処理の判断が裁量的に行われるおそれがあり、その結果、苦情の申告について形式審査の判断に時間を要するか又は却下されるなど、その円滑な処理が阻害される可能性がある。実際、特段の事情も認められない状況において、申告後2年近くが経過しても、労使が対立し、形式審査さえ終えていない事例が認められる。
 そうすると、本件協約等における苦情処理手続について、実質的で慎重な協議や審理が行われていることが制度的に担保され、かつ、現にそのような運用がなされていると評価することは到底できない。
 以上によれば、本件協約等による苦情処理手続が個別人事権の行使に関して実質的に団交に代わる手続として機能しているとみなすことはできない。したがって、本件団交拒否に正当な理由があるということはできないから、本件団交拒否は法7条2号の不当労働行為に該当する。
 加えて、本件団交拒否は、会社が本件協約等を根拠として団交を拒否したものであり、これは会社が本件協約等による苦情処理手続の制度的及び運用上の問題をそのままにして、組合等の団結権の行使活動に対して干渉ないし妨害する行為であると評価することができることから、会社は組合等の運営に支配介入したと認められる。 
掲載文献   

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