労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  原建設 
事件番号  神労委平成23年(不)第8号 
申立人  神奈川シティユニオン 
被申立人  原建設株式会社 
命令年月日  平成24年12月20日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   平成14年頃から被申立人会社で就労していたX2は19年11月15日、道路掘削等の作業をしていた際、事故により負傷した。会社は、X2の治療費を20年2月まで負担するとともに、19年12月以降、給与補償を行った。X2は20年5月、申立人組合に加入し、組合は会社に対し、上記の事故及び同人の就労実態についての調査・確認を行うことを求めて団交を申し入れた。
 本件は、会社が当該団交を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 神奈川県労委は会社に対し、誠実団交応諾と文書の手交・掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成22年8月9日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を申立人に手交するとともに、同文書を縦1メートル、横2メートルの白色用紙に楷書で明瞭に大きく記載し、被申立人事務所入口付近に、その掲示が明確に識別できるよう毀損することなく10日間掲示しなければならない。
  当社が、貴組合からの平成22年8月9日付け団体交渉要求に対し、何ら応答することなく団体交渉を拒否したことは労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると神奈川県労働委員会において認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
   平成 年 月 日
  神奈川シティユニオン
   執行委員長 X1 殿
原建設株式会社
代表取締役 Y1
 
判断の要旨  1 団交拒否について
 被申立人会社は、申立人組合からの団交申入れについて、組合に送付した手紙において「団体交渉には行きません。」と述べただけで拒否している。また、組合との電話においても、一方的に話し続けた後、電話を切るなどしており、本件団交申入れまでに会社が組合との間で、組合員X2の傷病について実質的な話合いを行い、何らかの合意に達したことが窺える事実はない。
 以上のとおりであるから、団交に応じる義務を果たさなかった会社の対応に酌むべき事情は一切存在しない。よって、会社の対応は正当な理由のない団交拒否である。
2 支配介入について
 組合がX2から受けた相談の内容について事実確認を行うため、会社に架電した1週間後、同人が会社を訪れると、会社は唐突に給与補償としての金銭支給の打切りを告げ、以後会社に来ることを禁じ、来たら警察を呼ぶ旨の脅迫ともとれる発言を行っている。このような対応からは、X2が組合に相談したにすぎない段階から、同人を会社から排除しようとする会社の意図が窺える。そして、組合の団交申入れが行われ、X2の組合加入が判明した時以降、会社は組合との電話において前記1で述べたような対応を行い、同人の療養・休業補償給付のための手続についても自己の考えに固執し、組合に何ら協力しなかった。また、会社は団交申入れに何ら対応せず、無視した。
 このような会社の一連の対応からすると、会社には組合嫌悪のみならず、組合否認の意思が一貫して存在したことが明らかである。そして、このような意思を背景として行われた本件団交拒否が、労組法が労働組合に保障する団体交渉権の形骸化に結びつく支配介入であることは明らかである。 
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約182KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。