労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第80号、23年(不)第26号、同第53号  
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第80号、23年(不)第26号、同第53号  
申立人  X労働組合  
被申立人  株式会社Y  
命令年月日  平成24年12月25日  
命令区分  全部救済(22不80、23不53)、一部救済(23不26)  
重要度   
事件概要   被申立人会社が①平成22年度冬季一時金及び同年度賃金改定を議題とする団交において、申立人組合が求める数字的な根拠や基準を一切明らかにせず、その後、団交を打ち切ったこと、②組合の分会長Cに対し、長期に渡り自宅待機を命じ、その間の賃金を不当に減額し、また、その後、同人を懲戒解雇し、解雇に関する団交申入れに応じなかったこと、③Cの未払残業手当に係る団交において、組合と合意した内容について書面化することをいったん了承しておきながら、その後拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は会社に対し、1 Cに対する懲戒処分がなかったものとして取り扱うこと、2 上記③の申立てに係る協定書の作成・調印に速やかに応じること、3 文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。  
命令主文  1 被申立人は、平成23年3月26日付けで、申立人X労働組合Y分会分会長C氏に対し行った懲戒解雇処分がなかったものとして取り扱わなければならない。
2 被申立人は、平成23年8月23日の団体交渉において申立人が提示した協定書の作成及び調印に速やかに応じなければならない。
3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
  X労働組合
   執行委員長 A 様
株式会社Y
代表取締役 B
  当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、(1)、(3)及び(4)については労働組合法第7条第2号に、(2)については同条第1号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
  (1)平成22年12月2日の団体交渉において誠実に応じなかったこと。
  (2)平成23年3月26日付けで、貴組合Y分会分会長C氏を懲戒解雇したこと。
  (3)貴組合から平成23年3月28日付けで申入れのあった団体交渉に応じなかったこと。
  (4)平成23年8月23日の団体交渉における貴組合との合意事項について、協定書の作成及び調印に応じなかったこと。

4 申立人のその他の申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 平成22年度冬季一時金等に関する団交における対応について
 平成22年12月2日に開催された団交において、申立人組合は被申立人会社に対し、具体的数字を示しての説明もなく、回答の根拠や平均支給額も示さないのでは妥結ができないとして、支給日までに再交渉するか、同日の支給については仮の支給として団交を継続することを提案したところ、会社はこれ以上の団交に応じるつもりはない旨述べた。また、その後23年4月まで冬季一時金についての団交は開催されなかったこと、会社は22年12月15日に冬季一時金を支給したこと等が認められる。
 そうすると、会社は、組合による交渉継続の意思を無視したまま、一方的に冬季一時金の支給額を決定し、団交を打ち切ったというのが相当であり、かかる行為は組合との交渉を軽視し、団交に誠実に応じなかったものというべきである。
2 組合の分会長Cに対する自宅待機命令について
 会社は、Cと嘱託社員等との間で起きた2回の口論におけるCの言動には就業規則に照らして懲戒処分に該当する事項が含まれているため、処分を検討するとして、同人に対し、当分の間の自宅待機を命じた。当該口論のような行為は、会社の業務の円滑な進行の支障になる危険がある上、会社施設内で同様の行為が繰り返される可能性がないとはいえなかったことからみても、本件自宅待機命令は首肯し得るものである。また、組合は、自宅待機の必要があったとしても、1か月にも渡って放置することはあり得ない旨主張するが、会社による賞罰委員会の開催状況をみると、会社が徒に引き延ばしを図ったとみることもできない。
 以上のことから、本件自宅待機命令は、Cが組合員であったことや組合活動を理由になされたものであるとみることはできない。
3 Cに対する懲戒解雇について
 会社はCに対し、上記2の口論を含む3件の事件における同人の行動は暴行・傷害罪、名誉棄損、強要・脅迫に当たるとして、就業規則の規定に基づき懲戒解雇することを通告したが、このような会社の態度は、社会通念上からも重きに失すると思料される処分を相手方による刑事告訴の経過も見定めず請求に科した、といわざるを得ない。
 また、会社は、賞罰委員会が、Cが上記2回の口論について相手方に謝罪することを重視していたにもかかわらず、最終の同委員会開催からわずか4日目に、Cが謝罪せず反省していないとして、極めて性急に厳しい対応をとったのであり、かかる対応は処分としての相当性を欠いたものと判断せざるを得ない。
 これらのことに、前記1に係る不当労働行為救済申立て事件が係争中であったこと等も併せ考えると、会社はCの組合活動を嫌悪し、社外に排除するために、就業規則の適用に当たり、通常よりも重い規定を適用し、懲戒解雇したことが推認されるのであって、本件懲戒解雇は同人の組合活動を嫌悪した不利益取扱いであるといわざるを得ない。
4 Cの懲戒解雇に関する団交申入れに応じなかったことについて
 会社は、組合からの団交申入れに回答しなかったが、それ以前に団交開催を当分の間延期したい旨申し入れていた旨主張する。しかし、会社の延期申入れがその後の団交申入れに回答しないことを正当化する理由とまでならないことはいうまでもない。その他、会社が本件団交申入れに応じる必要がないとする特段の事情も見当たらない。したがって、会社が本件団交申入れに応じなかったことに正当な理由があるとはいえない。
5 組合と合意した内容の書面化を拒否したことについて
 平成23年8月23日開催の団交において、組合がCの未払残業手当に関しては訴訟時効の期間にかかわらず、20年6月から22年6月までの期間について清算する旨の条項を含む書面を提示し、調印を求めたところ、会社は、当然のことであるから書面は不要である旨述べたことが認められ、上記未払残業手当の清算及び時効の援用をしないことについて合意があったとみるのが相当である。しかし、会社は後日、組合に対し、弁護士に相談したところ、裁判になるというなら協定書の調印はしなくてよいということなので、調印しない旨通知した。
 上記の合意は、まさしく裁判になった場合でも、会社が消滅時効の援用をしないという合意であり、裁判になるなら協定書の調印はしなくてよいとの弁護士の助言は、書面化を拒否する特段の事情に当たるとは認められない。したがって、会社は団交で合意した事項の書面の作成及び調印に正当な理由なく応じなかったというべきであり、かかる会社の対応は不誠実団交に当たる。  
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約467Byteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。