概要情報
事件名 |
大樹町
|
事件番号 |
平成23年道委(不)第30号
|
申立人 |
帯広地域労働組合
|
被申立人 |
大樹町
|
命令年月日 |
平成24年11月26日
|
命令区分 |
棄却
|
重要度 |
|
事件概要 |
被申立人町からの委託により保育園を運営している申立外社会福祉法人Zが、保育園の給食部門を外部委託することについて町に承認を求めたところ、町は当初、外部委託を無期限延期するとした。これを受け、申立人組合とZは、「Zは、給食部門の外部委託について町の無期限延期の指導を受け入れたことを表明する」ことを合意した。しかし、その後、町はZから改めて協議を受け、外部委託を承認するに至った。組合は、Zを被申立人として北海道労委に対し、不当労働行為救済申立てを行ったが、和解が成立し、和解協定に、上記の合意事項については改めて団交で協議するものとし、その協議には町の同席を求めるものとする旨が記載された。この和解協定に従い、町の課長同席の下に団交が行われた。その際、町の課長は組合の質疑について持ち帰って検討するとしたが、町は後日、町は同席するのみで一切コメントしないなどと組合に回答した。
本件は、上記回答を受け、組合が町に対し2回に渡って申し入れた団交に町が応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
北海道労委は、申立てを棄却した。
|
命令主文 |
本件申立てを棄却する。
|
判断の要旨 |
被申立人町の労組法上の使用者性に関し、申立人組合は、町は保育業務の委託先である申立外社会福祉法人Zに対し管理・監督権限を有することを指摘する。しかし、町は、Zに対し、その職員の採用や人事異動について意見を述べたり、指導することはなく、勤務内容や労働条件についても基本的にはZの自主運営に任せていたのであるから、町が、Zの職員の労働条件について、雇用主であるZと同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定していた事実は認められない。
次に、組合は、町がZの進める本件外部委託計画に深くかかわっていると主張するが、町が本件外部委託を承認する権限は、あくまでも保育業務の適正な実施を図ることを目的とする保育業務委託契約に基づき定められたものであって、町は、承認に当たり、Zと委託先業者との契約が、専ら、衛生や栄養等の質の確保に関する条件を定める厚生省局長通知に合致しているかどうかの観点からのみ審査している。よって、本件外部委託の承認が、結果としてZの職員の労働条件に影響を与えたとしても、そのことをもって雇用主と同視できる程度の支配・決定力を有していたとは認め難い。
以上のとおりであるから、町は、労組法上の使用者とはいえず、本件申立てを棄却する。
|
掲載文献 |
|
|