労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第57号・同23年(不)第10号・第25号  
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第57号・同23年(不)第10号・第25号  
申立人  X労働組合  
被申立人  Y株式会社、Z株式会社  
命令年月日  平成24年11月2日  
命令区分  棄却(22不57)、全部救済(23不10・25)  
重要度   
事件概要   被申立人会社Yは、平成22年11月5日、会社分割を行い、新設分割として被申立人会社Zを新たに設立した。本件は、①会社分割前のYが団交において申立人組合の要求した資料を開示せず、また、交渉権限のある者を出席させないなど誠実に対応しなかったこと、②Yが会社分割後、事業を停止し、組合員を雇用しなくなったこと、③Yが会社分割後、事前協議協定を守らず、一方的に組合事務所を不便な場所に変更したこと、④Yが会社分割に関する団交申入れに応じなかったこと、⑤Zが上記会社分割やその後の事業停止に関する団交申入れに応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、Y及びZに対し、1 組合員5名をYの事業閉鎖が行われる直前の労働条件と同等の労働条件で就労させること等、2 従前の組合事務所を継続して組合に使用させること、3 団交応諾、4 文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。  
命令主文  1 被申立人Y株式会社及び被申立人Z株式会社は、申立人の組合員D1、同D2、同D3、同D4及び同D5を平成23年3月9日付け事業閉鎖の告知が行われる直前の被申立人Y株式会社の労働条件と同等の労働条件で就労させるとともに、同人らに対して、平成23年3月9日の翌日から職場に復帰するまでの間、同人らが就労していたであれば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人Y株式会社及び被申立人Z株式会社は、従前の組合事務所を継続して申立人に使用させなければならない。
3 被申立人Y株式会社は、平成22年12月11日付けで申立人から申入れのあった団体交渉に応じなければならない。
4 被申立人Z株式会社は、平成23年3月16日付けで申立人から申入れのあった団体交渉に応じなければならない。
5 被申立人Y株式会社は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日
  X労働組合
   執行委員長 A 様
Y株式会社
代表取締役 B
   当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、(1)については労働組合法第7条第1号及び第3号に、(2)については同条第3号に、(3)については同条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
  (1)貴組合の組合員D1氏、同D2氏、同D3氏、同D4氏及び同D5氏に対して、平成23年3月9日の翌日から就労させず賃金を支払わなかったこと。
  (2)組合事務所の移転を強要したこと。
  (3)平成22年12月11日付けで申入れのあった団体交渉に応じなかったこと。

6 被申立人Z株式会社は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日
  X労働組合
   執行委員長 A 様
Z株式会社
代表取締役 C
   当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、(1)については労働組合法第7条第1号及び第3号に、(2)については同条第3号に、(3)については同条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
  (1)貴組合の組合員D1氏、同D2氏、同D3氏、同D4氏及び同D5氏に対して、平成23年3月9日の翌日から就労させず賃金を支払わなかったこと。
  (2)組合事務所を継続して使用させなかったこと。
  (3)平成23年3月16日付けで申入れのあった団体交渉に応じなかったこと。

7 申立人のその他の申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 会社分割前の被申立人会社Yの団交における対応について
 団交においてY側はJ1弁護士等が出席していたが、交渉担当者として権限をもって交渉している上、Yの前社長Fが出席したこともあったのだから、団交出席者に関して不誠実な対応をしていたとの申立人組合の主張は採用できない。また、Yが組合に開示したYの財務資料については、一定程度、組合の希望に沿って作成され、また、疑問点についてYが書面で回答したり、Fが説明したりしており、団交の議事録を見ても、組合が異議を述べていた事実は記載されていない。したがって、当該財務資料の開示に関し、Yの態度が不誠実であったとまで認めることはできない。
2 被申立人会社Zは、組合員5名の使用者に当たるかについて
 本件会社分割は、以前から組合と合理化案を巡って対立関係にあったYが、分割後の適当な時期にYをつぶし、Zのみを存続させることにより、組合及び組合員の排除を図る目的で行われたものであると解さざるを得ない。したがって、ZとYは同一の法人格であるとはいえないものの、労組法上、本件労働関係については、両社はともに重畳的にYの従業員に対する支配決定権をもつものとみなされるべきであり、Zは組合員の労働条件や組合との団体的労使関係の問題について、不当労働行為に関する責任を負うべき立場にあるものであって、Yが会社分割後、組合員を雇用しなくなったことが不当労働行為に当たるか否かなどの争点に関し、労組法7条の使用者に当たるものと解さざるを得ない。
3 Yが会社分割後、事業を閉鎖し、組合員を雇用しなくなったことについて
 Zの社長Cは、本件申立ての審問において、Yを2つに分けて片方の会社をつぶし、Zを残すということをFから聞いた旨、C自身はZの経営に全くタッチしていなかった旨、従業員が安全帯の問題を起こしたのをいい機会にして事業を停止するということをFから聞いた旨、証言している。前記のとおり本件会社分割が組合及び組合員を排除する目的で行われたものであると解さざるを得ないことを併せ考えると、Yの会社閉鎖は、Fがかねてからの計画に従い、事業閉鎖を企図していたところ、組合員が安全帯を装着せずに作業を行ったことを奇貨として、組合及び組合員5名を排除する目的で行ったものとみざるを得ない。
 以上のとおりであるから、Yが会社分割後、事業を閉鎖し、組合員を雇用しなくなったことは、組合を嫌悪して行われた不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たる。
4 Yが会社分割に伴い、組合事務所を移転したことについて
 本件組合事務所の移転がYと組合との間の協定書に違反するとまでは認めがたい。しかし、Yは、組合事務所を会社分割後も継続して組合に貸与することが可能であったと考えられ、それにもかかわらず、組合と協議することもなく、一方的に組合事務所を不便な場所に移動したことは組合活動を抑制することを意図したものと推認せざるを得ず、組合を弱体化するための支配介入に当たるといえる。
5 団交申入れに対するYの対応について
 Yは、本件申立てが当委員会に係属していることを理由に団交開催を拒否しているとみることができるが、救済申立ての審査の最中であっても、当事者間での団交による解決を妨げるものではない上、組合が団交申入書で要求している事項はYが回答を行った時点では「労働委員会で審理中」ではなかったのであるから、Yのこのような対応に正当な理由は認められないというべきである。
6 団交申入れに対するZの対応について
 Zは、Zの団交応諾に関する救済申立てが行われてから約2か月後に事業を閉鎖した。また、Zの代理人が当委員会に辞任届を提出した後は、Zは調査期日及び審問期日に一度も出席せず、主張、立証も行わなくなった。Zは、団交に応じていない理由についての主張を組合に対しても、本件申立てにおいても行っていない。
 以上のことから、Zが団交に応じなかったことに正当な理由は認められない。  
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