概要情報
事件名 |
杉森学園
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事件番号 |
福岡労委平成23年(不)第13号
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申立人 |
福岡県私立学校教職員組合連合、杉森学園教職員組合
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被申立人 |
学校法人杉森学園
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命令年月日 |
平成24年9月12日
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命令区分 |
一部救済
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重要度 |
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事件概要 |
被申立人法人が①常勤講師雇用契約書の文言の一部を削除することを確認する旨の覚書を申立人杉森学園教職員組合との間で締結したにもかかわらず、平成23年度常勤講師雇用契約書を提出させるに際して、当該文言を削除しなかったこと、②平成24年度の常勤講師採用について、覚書の内容及び団交での約束に反して、団交で実質的に協議することなく、一方的に募集を行い、採用試験を実施し、採用内定を出したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
福岡県労委は法人に対し、文書の手交・掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。
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命令主文 |
1 被申立人学校法人杉森学園は、本命令書写しの交付の日から10日以内に、下記内容の文書(A4判)を申立人福岡県私立学校教職員組合連合及び同杉森学園教職員組合に手交するとともに、A1判の大きさの白紙(縦約84センチメートル、横約60センチメートル)に明瞭に記載し、杉森高等学校の職員室の見やすい場所に14日間掲示しなければならない。
平成 年 月 日
福岡県私立学校教職員組合連合
執行委員長 X1 殿
杉森学園教職員組合
執行委員長 X2 殿
学校法人杉森学園
理事長 Y1
当学園が、平成24年度常勤講師雇用について募集広告を行う前に杉森学園教職員組合と十分な協議を行わなかったことは、平成23年3月29日の団体交渉で杉森学園教職員組合との間で締結された覚書の内容に反するものとして、福岡県労働委員会によって労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為と認定されました。
今後このような行為を行わないよう留意します。
2 その余の申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 平成23年度常勤講師雇用契約書問題について
覚書が締結された平成23年3月29日の団交でどのような労使合意がなされたかをみると、申立人杉森学園教職員組合(以下「組合」)と被申立人法人は常勤講師雇用契約書中の文言から、不更新条項及び不通知条項を削除することなく、既に配布していた常勤講師雇用契約書をそのまま利用することで合意したものと認められる。
したがって、法人が常勤講師雇用契約書から上記条項を削除しなかったことは覚書に反するものではなく、申立人らの主張には理由がない。
2 平成24年度常勤講師採用問題について
23年6月16日の団交における法人の発言は、平成24年度常勤講師採用問題について7月中にも引き続き協議がなされることを組合に期待させるものである。それにもかかわらず、法人は7月中に組合に協議を申し入れておらず、このため組合が同月29日に団交を申し入れているが、その際にも法人は回答文書等において、募集広告をすることについて事前に一切告知しないまま、8月9日に法人のホームページ上に募集広告を掲載している。
上記のような団交の席上における法人側の回答に加え、常勤講師の採用内定に至る一連の法人の行為を見るならば、法人は平成24年度常勤講師採用について、組合と誠実に協議するという態度に欠けており、これらの行為は覚書第3項により必要な時期の協議実施を合意したことを無意味ならしめるものであり、同項に違反していると評価せざるを得ない。
さらに、覚書第3項に反し、必要な時期に協議を尽くさなかった学園の一連の行為は覚書を締結した一方当事者である組合の立場をあまりに軽視するものといわざるを得ず、労組法7条3号の支配介入に該当する。
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掲載文献 |
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