労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  今治精華学園 
事件番号  愛媛地労委平成11年(不)第1号 
申立人  愛媛私立学校教職員連合組合・今治精華高等学校教職員組合 
被申立人  学校法人今治精華学園 
命令年月日  平成12年8月9日 
命令区分  救済 
重要度   
事件概要   学園が、①組合執行委員長に対し、戒告及び停職処分を行ったこと、②組合機関紙の配布活動を妨害したことが争われた事件で、①停職処分がなかったものとしての取扱い、賃金等減額分の支払、②文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。  
命令主文  1 被申立人は、Hに対する平成10年7月18日付け停職処分をなかったものとして取り扱い、同人に対する賃金等減額分金311,760円を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人らに対し、本命令書写しの交付の日から7日以内に、下記の文書を手交しなければならない。
① H氏に対して、平成10年7月18日付け停職処分を行ったこと。また、それに伴って同氏の賃金等を減額したこと。
② 平成10年6月25日に組合機関紙「羅針盤」の配布活動を妨害したこと。
3 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。  
判断の要旨  ①本件組合機関紙の配布、勤務時間外に行われ、生徒等の目にふれないよう十分な配慮がなされていたものと認められ、内容については特に誹謗、中傷記事が記載されていたものではなく、職場秩序が乱された具体的な事実もないことから、学園の業務遂行上、施設の管理上及び職場秩序の維持上も特に支障を及ぼしたとは認められず、正当な組合活動の範囲であるとされた例。
②H教諭が、生徒との間で漢字テストの成績を対象とするジュースや少額の金銭のやり取りを行った行為、教員としての節度を越えており、生徒に与えた影響を考慮すると懲戒処分の対象となることもやむを得ず、戒告は就業規則のなかで最も軽い処分であり、懲戒手続も適正であることから、H教諭に対する戒告処分は不当労働行為に当たらないとされた例。
③H教諭が、担当する授業を実施しなかったことは職務専念義務違反であり懲戒処分の対象となるが、職員会議中の録音機の使用については疎明がなく、学級指導や学習指導のあり方については処分理由として合理性が認められず、また、2週間の停職処分とすることは著しく妥当性を欠くものであり、学園はH教諭が組合の執行委員長であるが故の殊更に重い処分をしようとしたものと認めざるを得ず、本件H教諭に対する停職処分は労働組合法第7条第1号の不当労働行為に当たるとされた例。
④S教諭が教職員有志の意見をまとめ、連名の文書で組合に対し組合機関紙の配布や郵送をしないよう申し入れたことについて、S教師は、最も勤務年数が長いことから、組合機関紙を読みたくないとする教職員らから職場の意見をまてめて欲しい旨の相談を持ちかけられたものであり、S教諭が学園の意を受け、もしくはその意図に基づいて組合機関紙の郵送を拒否する旨の申し入れを行ったものと認めることはできず、不当労働行為に当たらないとされた例。
⑤本件審問において、学園は教頭の発言に行き過ぎがあったことを認め、勤務時間外に校長もしくは教頭に届け出ることによって職員室での機関紙配布を認めており、それに基づいて、組合は組合機関紙の配布を再開しているが、将来支配介入が繰り返される可能性もほとんど認められないことから、救済の実益がなく、本件機関紙配布に対する申立ては、棄却するのが相当であるとされた例。  
掲載文献   

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