労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  大阪府労委平成23年(不)第20号 
事件番号  大阪府労委平成23年(不)第20号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成24年5月15日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社が、契約社員である組合員Fの賃金査定方法の変更に関する団交における申立人組合との確認事項を、組合に通告することなく一方的に反故にするとともに、組合員の労働条件の変更に係る事項について、組合と協議することを拒否し、一方的に変更を強行し、団交に実質的権限のある者を出席させないことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、申立てを棄却した。  
命令主文  本件申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 被申立人会社が団交における合意を一方的に反故にした旨の主張について
 申立人組合は、会社が平成22年2月17日の団交で、スキルアップシートⅡで評価する場合、本人が実際に行っていない業務については評価の対象としない旨説明し、これを受け、組合が同年2月19日付け「確認事項および組合の要求」にこの会社の説明内容を確認事項として記載の上、会社に送付し、会社からはこれについて修正も反論も行われなかったにもかかわらず、会社はその説明内容とは異なる方法で査定したスキル認定書を組合員Fに交付しており、会社が査定方法の変更を組合に説明したのは、その後の同年9月27日の団交であり、事後的なものにすぎない旨主張する。
 しかし、上記「確認事項および組合の要求」については、会社がその見解を説明したことを組合が団交での確認事項であるとして記載したとみるのが相当であって、組合が会社の見解に反対しなかったことのみをもって、団交における労使合意があったとまではみることができない。したがって、会社が組合に対して査定方法の変更を説明したのは事後的なものにすぎない旨の組合の主張も採用できない。
 また、これについて、いわゆる事前協議約款が会社と組合の間で締結されたと認めるに足る事実の疎明はない。そうすると、会社には確認事項の変更を事前に組合に説明する義務があったとする組合の主張は採用できない。
 以上のことからすると、会社がスキルアップシートⅡでの査定方法に関する団交での組合との確認に反してFを査定し、団交における組合との合意を一方的に反故にした旨の組合の主張は採用できない。
2 会社が組合との協議を拒否し、査定方法の変更を強行した旨の主張について
 組合は、22年9月27日の団交において、会社に対し、Fに関して従来適用されていたスキルアップシートⅠの適用を廃止して同Ⅱを導入する一方的な査定方法の変更に反対するとともに、当該導入について組合との協議が終わるまでは導入を前提とした研修を実施しないことを要求し、組合員の労働条件の変更に係る事項(業務体制の見直し等)について協議を求めたにもかかわらず、会社はこれらについて組合と協議することを拒否し、23年2月のFの査定において査定方法の変更を一方的に強行した旨主張する。
 しかし、会社は上記団交において、スキルアップシートⅡの導入について一定の説明をするとともに、研修を中止してほしい旨の要求に対し、早く研修を開始しなければ時間がなくなるとして、研修を中止しない旨の会社の考え方を説明している。また、23年2月9日の団交において会社はスキルアップシートⅡの導入に当たってのスキル評価の具体的進め方や研修の内容等について一定の説明をするとともに、組合が組合と協議すべきと主張している業務体制等について、協議事項に当たらないと判断しているが、問題提起があれば説明する旨述べている。
 以上のことからすると、会社が組合との協議を拒否し、査定方法の変更を一方的に強行したとの組合の主張は採用できない。
3 会社が実質的権限のない者を団交に出席させた旨の主張について
 会社の団交担当者であったA支店業務企画室長Gは、支店経営の企画、立案、人事及び労務等に関する事務を所掌するとともに、郵便課及び集配営業課に係る事務の一部を分担する業務企画室の総括責任者として、組合との団交等に対応し、23年2月9日の団交において、スキルアップシートに関して組合の意見を聞き、支社や本社にそのような意見があることを伝えることは可能である旨述べたことが認められるのであるから、同人は団交担当者として、支社と本社との調整機能も有し、会社の意思決定を受け、その意を体して対応したものと認められ、少なくとも組合との団交に関しての交渉権限を有していたとみることができる。したがって、この点に係る組合の主張は採用できない。  
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約635KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。