概要情報
事件名 |
北海道体育文化協会 |
事件番号 |
平成22年道委不第19号 |
申立人 |
全北海道体育文化協会労働組合 |
被申立人 |
一般財団法人北海道体育文化協会 |
命令年月日 |
平成24年4月13日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人法人のA事務所の副所長X2と課長X3は、平成22年4月14日、労働基準監督署に時間外勤務手当の未払いについて申告した。同月27日、法人の専務理事Y2らはX2らに対し、人事考査のための聞取り調査を行った。同年5月1日、X2らは申立人組合を結成し、法人に対し、上記聞取り調査や時間外勤務の取扱いを議題とする団交を申し入れた。同月25日、Y2らはX2らに対し、職位の引下げを伴う人事異動の内示をしたが、その実施は後日、延期されることとなった。同年6月8日及び8月3日に団交が行われた後、法人は上記人事異動を9月1日付けで行うことを職員に内示した。
本件は、法人が①上記の人事異動を行ったこと、②X2らの職位の回復等を議題とする団交に誠実に応じないことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
北海道労委は、申立てを棄却した。
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命令主文 |
本件申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 本件人事異動について
本件人事異動の理由に関して、被申立人法人において業務量の確実な増加が見込まれるなど予算管理の一層の適正化が求められる状況の中で、A事務所の副所長X2らが勤務時間管理や予算管理を適切に行う職責にありながら、その職責を十分に果たさなかったこと、X2が同事務所に関する指定管理業務計画書作成の中心人物でありながら、指定管理者の選定に関するヒアリングへの出席を所長から要請された際、これを断るなど同事務所における指揮命令系統が機能していなかったことは明らかである。本件人事異動は、同事務所における指揮命令系統の立て直しを図るためのものであったと認められる。
所長に対しても、職位の引下げを伴う人事異動が予定されていたが、同人は平成22年5月25日付けで退職したため、行われなかった。このため、職位の引下げの対象となったのはX2らにとどまることとなったが、賃金の引下げを伴う降格ではなかった。それゆえ、本件人事異動は必ずしも不当な人事異動とはいえない。
また、法人は、申立人組合結成前の同年4月27日にX2らに対して本件聞取り調査を実施しており、この時点において、法人の専務理事Y2がX2らに対して何らかの人事異動を行う意思のあることを表示していた。加えて、それが自らにとって不利益な内容のものとなることについては、X2らにも当時からおおよその認識があったものと認められる。
以上のような事情を総合的に勘案すれば、本件においては、X2らが組合員であることを理由として、法人が本件人事異動を計画・実施したと認定することはできない。
2 団交における法人の対応について
本件審査手続の終結までに合計4回の団交が開催されている。その際、法人が、組合が要求した資料の提供や組合から求められた説明を拒否したことを示すような事情は窺えない。また、いずれの団交も、議論が一定の程度に達したことを受けて終了していることが認められ、法人が組合の質問に対する回答を拒否したり、交渉を一方的に打ち切ったりしたような状況は認められない。
以上のとおりであるから、労組法7条2号の不当労働行為が成立するとは認められない。
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掲載文献 |
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