労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  都労委平成22年不第33号 
事件番号  都労委平成22年不第33号 
申立人  全日本金属情報機器労働組合東京地方本部、同労働組合S支部、X2(個人)、X3(個人)  
被申立人  S株式会社 
命令年月日  平成24年4月3日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が①申立人組合(支部)の執行委員長であるX2に対し、会社の事務機器等を使用して業務と関係のないファイルを閲覧、印刷したことを理由に出勤停止処分を行ったこと、②X2と支部の組合員X3に対し、設計部門からプラント部門への配転を命じたことが不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。なお、X2はその後、解雇された。
 東京都労委は、会社に対し、1 X2に対し、上記②の配転命令をなかったものとして当該配転命令から解雇の日までに係る残業手当の差額を支払うこと、2 X3に対する上記②の配転命令をなかったものとし、同人を設計部門に復帰させること等、3 X2に対する上記①の出勤停止処分をなかったものとし、当該処分に係る勤務日の賃金を支払うこと、4 文書の交付及び掲示、5 履行報告を命じた。  
命令主文  1 被申立人S株式会社は、申立人X2に対し、平成22年4月16日付配置転換命令をなかったものとして、配置転換命令から解雇の日までの間に同人が受けるはずであった一律残業手当の額からその間同人に対し実際に支払われた残業手当の額を差し引いた額を同人に支払わなければならない。
2 被申立人会社は、申立人X3に対し、次の措置を含め、21年10月1日付配置転換命令をなかったものとして取り扱わなければならない。
 (1) X3を設計部門に復帰させること。
 (2) 21年10月1日付配置転換命令から設計部門に復帰する日までの間にX3が受けるはずであった一律残業手当の額からその間同人に対し実際に支払われた残業手当の額を差し引いた額を同人に支払うこと。
3 被申立人会社は、申立人X2に対し、21年9月29日付けで通知した10月1日を出勤停止とする処分をなかったものとして取り扱い、同日分の賃金を支払わなければならない。
4 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記書面を申立人全日本金属情報機器労働組合東京地方本部及び同全日本金属情報機器労働組合S支部に交付するとともに、同一内容の書面を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
平成 年 月 日
   全日本金属情報機器労働組合東京地方本部    執行委員長 X1 殿    全日本金属情報機器労働組合S支部    執行委員長 X2 殿
S株式会社
代表取締役 Y1
   当社が、貴組合の組合員であるX2氏に対し、平成22年4月16日付けでプラント部門への配置転換を命じたこと、同X3氏に対し、21年10月1日付けでプラント部門への配置転換を命じたこと、及びX2氏に対し、21年9月29日付けで通知した10月1日を出勤停止とする処分を行ったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
   今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
   (注 : 年月日は、文書を交付又は掲示した日を記載すること。)

5 被申立人会社は、前各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。  
判断の要旨  1 申立人組合支部執行委員長X2に対する出勤停止処分について
 本件出勤停止処分が行われた頃の労使関係は、相当程度緊迫していたことが窺われるところ、本件出勤停止処分は、支部の中心的人物であるX2に対してそれ以前の処分等に引き続いて一連のものとして行われたものであり、本件出勤停止処分以前の処分等についても、本件出勤停止処分についても、処分の理由等に不自然な点が多々みられる。したがって、これらの点を総合的に勘案すると、本件出勤停止処分の真の狙いは、被申立人会社が、支部の前身であったS労組が全日本金属情報機器労働組合(JMIU)に加盟したことを契機として、組合(支部を含む。)の会社に対する影響力が高まることを懸念し、これを抑制することを狙って、支部の中心的存在である執行委員長のX2に対し本件出勤停止処分を行うことによって、組合の会社における影響力を減殺することにあったと判断せざるを得ない。
 このような会社の行為は、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合の弱体化を意図した支配介入にも当たる。
2 X2に対する配転命令について
 会社の主張する本件配転命令の理由は不自然な点が多く、その合理性は疑わしい。また、本件配転は、労使間の対立が深まっていたことが窺われる中で、支部の執行委員長であるX2に対して行われたものであり、しかも、本件配転命令によって、同人には「一律残業手当」が支払われなくなったことによる経済的不利益等が生じた。
 以上を総合的に勘案すると、本件配転命令は、会社が、S労組がJMIUに加盟したことを契機として、組合の会社に対する影響力が高まることを懸念し、支部の中心的存在である執行委員長のX2に対し、経済的不利益等が生ずる配転を実施することにより、組合の会社における影響力を減殺することを狙ったものとみざるを得ない。
 このような会社の行為は、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合の弱体化を意図した支配介入にも当たる。
3 組合員X3に対する配転命令について
 会社の主張する本件配転命令の理由は不自然な点が多くみられ、その合理性は疑わしく、会社はX3が積極的に組合活動をしている組合員であるとの認識があったといえる。そして、本件配転命令によって、同人には経済的不利益等が生じた。
 また、本件配転命令に至るまでの労使関係は、相当程度緊迫していたことが窺われる。
 以上を総合的に勘案すると、本件配転命令は、会社が、集塵労組がJMIUに加盟したことを契機として、組合の会社に対する影響力が高まることを懸念し、X2とともに積極的に組合活動を行っていたX3に対し、経済的不利益等が生ずる配転を実施することにより、組合の会社における影響力を減殺することを狙ったものとみざるを得ない。
 このような会社の行為は、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合の弱体化を意図した支配介入にも当たる。  
掲載文献   

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