概要情報
事件名 |
(有)おくざわ |
事件番号 |
茨労委平成22年(不)第4号 |
申立人 |
茨城県南地域労働組合、X(個人) |
被申立人 |
有限会社おくざわ |
命令年月日 |
平成24年4月19日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社の元従業員である申立人Xは、平成21年11月、申立人組合に対し、妊娠を理由に会社を解雇されたなどと相談するとともに、組合に加入した。本件は、会社が、解雇撤回等を求める組合からの団交申入れに応じようとしないのは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
茨城県労委は会社に対し、誠実団交応諾を命じた。
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命令主文 |
被申立人は、申立人茨城県南地域労働組合が、平成21年12月21日付け、22年1月12日付け及び同年2月22日付けで申し入れた団体交渉に、誠意をもって速やかに応じなければならない。
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判断の要旨 |
被申立人会社は、元従業員Xの申立人組合への加入は同人が平成21年10月29日に会社を退職した後のことであるから、会社と組合とは関係がなく、また、組合の団交申入れに係る要求事項は会社と同人との個別的な問題であるので、団交事項ではない旨主張する。
しかし、会社とXとの間には、未解決の労働問題が存在することは明らかであり、両者間の雇用関係は完全に清算されていないとみるべきで、Xの退職後であっても会社は本件団交申入れに応ずべき関係にあるといえる。
さらに、本件団交申入れにおける組合の要求事項は、まさに組合員であるXの雇用関係の存続・終了や労働条件にかかわることであって、いずれも義務的団交事項に該当する。すなわち、組合の要求事項は、会社とXとの個別的な問題にとどまるものではなく、会社と組合との団交を通じて解決すべき問題である。
したがって、会社は組合の本件団交申入れに誠意をもって応諾する義務があるといえる。
さらに、組合からあっせん申請がなされたにもかかわらず、会社に応じる意思がなく、不開始に終わっており、加えて、審問においても団交に応じない姿勢を示したことからすれば、会社が団交を拒否していることは明らかである。
以上のとおり、会社は本件団交申入れを正当な理由なく拒否したものであり、その対応は労組法7条2号の不当労働行為に当たる。
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掲載文献 |
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