労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  伊予銀行・いよぎんスタッフサービス 
事件番号  都労委平成22年(不)第54号 
申立人  派遣ユニオン 
被申立人  株式会社伊予銀行(Y)、いよぎんスタッフサービス株式会社(Z) 
命令年月日  平成24年3月27日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社Zに派遣労働者として雇用され、派遣先である同Yにおいて就労していたX2は、平成12年5月末をもってZを雇止めとなった。X2は、Y及びZ(以下「会社ら」という。)に対し、雇用関係存在確認、賃金及び慰謝料の支払いなどを求めて松山地裁に提訴したが、15年5月に棄却判決が下され、その後、高松高裁による一部認容・一部棄却判決を経て、最高裁に上告及び上告受理申立てをしたものの、21年3月、上告棄却及び上告受理申立て不受理とされ、判決は確定した。X2は、21年夏頃、申立人組合に加入し、組合は同人に対する謝罪及びYにおける雇用等を求めて会社らに団交を申し入れた。本件は、会社らが当該団交申入れに応じなかったことが不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は、申立てを棄却した。  
命令主文  本件申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 被申立人会社Zの団交拒否について
 Zは申立人組合からの団交申入れに対し、組合員X2はZの雇用する労働者ではないなどとして、これに応じなかった。確かに、X2とZとの間の雇用契約関係は、12年5月末をもって終了していることが判決により確定している。しかし、同人の雇用関係について生じた清算されていない労働条件等について、社会通念上合理的期間内に組合が団交を申し入れたのであれば、組合は労組法7条2号の「使用者が雇用する労働者の代表者」に当たると解されることになる。
 この点についてみると、X2は最高裁において敗訴が確定するまでの9年以上もの間、組合員となることはなかったのであり、最高裁決定後になされた団交申入れには唐突感が否めず、本件団交申入れは特段の事情のない限り、社会通念上合理的期間内に行われたものとはいい難い。
 次に、組合が申し入れた団交事項が司法手続において判断対象とされなかった事項を含み、組合による申入れを拒否すれば不当労働行為となり得るか否かについて検討すると、当該団交事項はいずれもX2の清算されていない労働条件等に関するものとは認められず、団交を基礎づける「雇用する」関係はもはや清算されたものといわざるを得ない。したがって、前記特段の事情は認められず、本件団交申入れは社会通念上合理的期間内に行われたものとはいい難い。
 以上のとおりであるから、組合は労組法上の「使用者が雇用する労働者の代表者」に当たるとはいえず、Zが団交申入れに応じなかったことは不当労働行為には当たらない。
2 被申立人会社Yの団交拒否について
 Yは組合からの団交申入れに対し、X2との間には雇用関係は存在せず、同人のYでの派遣就労関係も終了し、そのことは判決により確定しているなどとして、これに応じなかった。
 本件において、派遣先であるYが組合の団交申入れ事項に関し、現実的かつ具体的に支配・決定している地位にあったか否かは必ずしも明らかではない。しかし、この点については措くとしても、本件団交申入れ事項はいずれもX2の清算されていない労働条件等に関するものとは認められず、団交を基礎づける「雇用する」関係はもはや清算されたものといわざるを得ないのであるから、組合の団交申入れは社会通念上合理的期間内になされたものとはいい難い。
 したがって、組合は労組法上の「使用者が雇用する労働者の代表者」に当たるとは認められず、Yが団交申入れに応じなかったことは不当労働行為には当たらない。  
掲載文献   

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