労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ヤンマー 
事件番号  滋労委平成22年(不)第1号 
申立人  アルバイト・派遣・パート関西労働組合 
被申立人  ヤンマー株式会社 
命令年月日  平成24年2月15日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社が、同社のA工場で期間従業員として勤務していた組合員2名の雇止めをしたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 滋賀県労委は、申立てを棄却した。  
命令主文  本件申立を棄却する。  
判断の要旨  1 組合員X2が所属していたA工場組立グループの期間従業員の雇止めについて
 A工場組立グループに在籍していた期間従業員は161名全員が余剰人員とされ、その他の理由による退職者2名を除く159名が雇止めされたが、その中には組合員X2が含まれている。申立人組合は、同工場機械グループの期間従業員の雇止めの比率は26%に過ぎず、他の工場においても期間従業員の雇止めの比率は29ないし40%であったのと比較すると、組立グループの雇止めの比率は突出しており、不自然である旨主張する。
 しかし、組立グループの作業はほとんどが人手によるもので、必要作業人員は受注量に比例しているものであるのに対して、機械グループの必要人員は機械設備の稼働直数により算出されることから、受注量と必要人員とが単純に比例するものではなく、さらに、機械グループについてはこれまで外注していた作業を内製化して仕事量を確保したことも認められるから、両グループ間で余剰人員の比率が異なったとしても不自然で不合理ということはできない。また、A工場以外の工場ではリーマンショックによる受注減の影響が比較的少なかった製品の部品も生産していたのであるから、A工場での雇止めの比率が他工場と比較して高かったからといって不自然で不合理ということもできない。
 かえって、平成21年2月に期間従業員の雇止めがされた後のA工場組立グループの在籍人員数は同年10月に他工場から9名が転入するまで、大きな変動がなかったことが認められ、このことは組立グループの期間従業員全員の雇止めが不合理ではなかったことを裏付けるものである。
2 組合員X3の雇止めについて
 組合員X3が配属されていたA工場機械グループ第二係クランク職場の期間従業員37名のうち9名が余剰人員とされ、自己都合退職する予定であった2名を除く7名が雇止めされることとなり、被申立人会社は人事評価の成績の下位の者から順次7名を対象者として選定したが、その中にX3が含まれていた。
 余剰人員の決定方法について不合理とされるべき事情は認められず、その人選について人事評価をもって決定したことについても合理性が認められる。
 組合は、X3の人事評価は不当に低く評価されており、これは同人が労働災害を告発したことに対する報復として解雇するために意図的に低く評価したことによるものである旨主張する。
 しかし、X3の人事評価について意図的に低く評価したことをうかがわせるような評点は見当たらない。また、確かに、X3は勤務中に事故に遭い、会社が労災手続きに消極的であったところ、同人が組合に加入し交渉することによって労災扱いとなることができたという事情は認められるが、これは交渉によって労災手続きすることで合意し決着をみているのであり、前記人事評価の内容をも考慮すると、同人の雇止めがこれに対する報復であると認めることはできない。
3 まとめ
 以上を総合すると、X2及びX3の雇止めは、専らリーマンショックに端を発する世界同時不況による会社の業績悪化に対する措置としてやむなく取られたものと認められるのであり、組合の活発な組合活動があり、ビラ配布などをめぐって会社とトラブルがあって両者が緊張関係にあったことを考慮に入れたとしても、これをもって組合員であることを理由とする不利益取扱いないしは組合潰しをねらった支配介入であると認めることはできない。  
掲載文献   

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