労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第52号・23年(不)第16号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第52号・23年(不)第16号 
申立人  X労働組合 
被申立人  学校法人Y 
命令年月日  平成23年12月27日 
命令区分  一部救済(22不52棄却・23不16全救) 
重要度   
事件概要   被申立人法人が①申立人組合が分科会開催のため、法人に対し、教授会を定時で終了するよう通告していたにもかかわらず、教授会を延長し、分科会開催を妨げたこと、②組合が不当労働行為救済申立てを行ったことに対し、大学教員全員に組合を一方的に批判する内容を含むアンケート調査を行ったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、法人に対し文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。  
命令主文  1 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日
  X労働組合
   執行委員長 A 様
学校法人帝塚山学院
理事長 B
 当学校法人が、平成22年10月22日付け「勤務形態についてのアンケート調査」を行ったことは、大阪府労働委員会において労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

2 その他の申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 教授会における会議時間の延長について
 申立人組合は、大学の行政職職員のみならず教員についても終業時刻は午後5時であると解される旨主張するが、認定した事実によれば、大学教員の就業時間が形式上、午前9時から午後5時までであると慣例上認められてきたとはいえない。組合は、終業時刻を超えて会議を延長するには労使合意が必要であるところ労使合意がない旨等を主張するが、上記のとおり、大学教員の就業時間は午前9時から午後5時までであると慣例上認められてきたとはいえないことから、これを前提とする組合主張は採用できない。
 もっとも、C学部長が、教授会が延長されれば分科会の開始も遅れることを認識しながら、教授会を恣意的に延長したのであれば、その行為は組合への支配介入に当たる可能性がある。しかし、教授会において同人が、組合が主張するように、既に説明されたことを繰り返し述べたり、必要以上に自分の考えを述べるなどしたと認めることはできない。また、あえて不適切な議事進行を行ったと認められる事情があったと認めるに足る疎明もない。したがって、C学部長が、教授会を恣意的に延長したとまでは認めることができない。
 以上を総合すると、教授会において会議時間を延長したC学部長の行為は組合活動に対する妨害とはいえず、組合への支配介入には当たらない。
2 アンケート調査の実施について
(1)調査の目的
 本件アンケート調査の調査票の記載によれば、調査の目的については、前記1のC学部長の行為に係る不当労働行為救済申立て(平成22年(不)第52号)についての当委員会の調査に対し、理事会常務委員会として大学教員の勤務形態について明確な考え方をもって臨むことが必要になっているため、大学教員に対し、高等学校以下の教員に適用されている1週6日労働日、週39時間労働のような勤務形態を希望するのか、現行のような「自由裁量的」勤務形態を希望するのかを尋ねることとした旨記載されていることが認められる。この点について被申立人法人は、上記救済申立てを契機として大学教員の勤務形態のあり方について改めて検討すべきであるとの議論が起こり、大学教員の意向を確認する必要があるとの考えから実施した旨主張するが、調査票の文面とは異なっており、調査の実施目的に関する法人の主張には一貫性がない。
 また、大学教員の勤務形態についての考え方を法人内で明確にするために実施したとしても、勤務時間についての現状認識を確認すればよく、勤務形態の希望まで確認する必要があったとは言い難い。
(2)調査の内容
 調査票には、組合が大学教員の17時以降の勤務について「業務時間外」を主張するのであれば、大学教員に高等学校以下の教員と同じような勤務形態にせざるを得ない旨記載されていることが認められる。しかし、仮に組合の主張を受け入れたとしても、必然的に高等学校以下の教員と同じような勤務形態を導入する必要があるとまではいえず、やや短絡的な面がある。また、勤務形態のあり方を検討するに至った経緯等を記載するのであればともかく、上記のように組合主張と関連づける必要は認められない。
 以上のことからすると、当該記載は、組合が上記救済申立てをしたことを契機に、組合主張を受け入れれば大学教員に高等学校以下の教員と同じような勤務形態を導入せざるを得ないとの印象を与える効果があると推認される。
(3)調査の実施方法
 アンケート用紙には回答者の氏名及び所属学部を記入する欄があり、また、大学事務局長が未提出者数名に対してアンケート用紙を提出してほしい旨述べたことが認められる。しかし、勤務形態についての意向を確認するに当たり、名前を明らかにさせる必要があったとはいえず、法人の意向に沿うような回答を記載するように暗に示唆していると受け取られる効果のほうが勝っていたと推認される。また、事務局長が提出を求めたことを併せ考えると、回答によっては法人の意向に沿わない者として選別されるかもしれないとの不安を煽る効果があったものと推認される。
(4)調査の実施時期
 法人は調査を上記救済申立ての翌月に実施している一方、組合主張には大きな問題点があるとする法人見解を付して、組合主張を争う姿勢を示しており、この時期に大学教員の勤務形態のあり方を見直す必要性があったとするのは不自然といわざるを得ない。
(5)結論
 以上を総合すると、本件アンケート調査は、組合の不当労働行為救済申立てを受けて組合主張を非難し、組合を孤立させ、もって弱体化を図ったものであるとみるのが相当である。  
掲載文献   

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