労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第68号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第68号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y市 
命令年月日  平成23年12月16日 
命令区分  却下 
重要度   
事件概要   被申立人市は、従来、一般家庭ごみ収集業務を随意契約により民間企業に委託していたが、平成23年度から指名競争入札により委託先を決定することとした。当該業務を受託していた企業のうち申立外会社(2社)の従業員らは、申立人組合を結成した。本件は、組合が市に対して2回にわたり申し入れた団交を市が拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、市は組合員らの労組法上の使用者とはいえないとして、申立てを却下した。  
命令主文   本件申立てを却下する。  
判断の要旨  1 申立外会社は、実態として、被申立人市の一部門として機能していたか。
 会社(2社)と市の人的関係についてみると、両者の人的関連性を示す事実は認められない。また、会社は、資本面、経済面において、市とは独立した関係にあったと認められる。
 業務委託契約の締結に係る市と会社の関係についてみると、会社が市の提示した契約内容をそのまま了承して委託契約を締結したものとはいえない。また、市が一般家庭ごみ収集業務の受託業者に対し、その事業内容について市が支配しているとみなされるような制限を行っているとは認められない。さらに、市が会社の従業員の平均的な賃金を直接決定していたとは認められない。
 2社のうちA社においては、経営方針や業務に関する事項は株主の意見を聞いて取締役会で決定していることが認められ、その他市が会社の経営や業務内容の決定に直接関与しているなどとの組合の主張及び事実の疎明はないことから、会社は事業運営面において市とは独立した関係にあったと認められる。
 以上のことから、会社は市の一部門として機能していたとはいえず、市が会社と実質的に一体であり、同一性があるということはできない。
2 市が労働者の基本的な労働条件に関して、雇用主である会社と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったか。
 会社は、日常の一般家庭ごみ収集業務について、業務委託契約の一方当事者として、同契約に基づくごみ収集業務仕様書等に基づくことは求められるものの、会社自らが自らの責任で当該業務を遂行しているとみるのが相当である。
 平成21年度において市の主催により接遇研修及び安全運転講習会が会社従業員らを対象に実施されたことをもって、一般家庭ごみ収集業務の委託労働者を市職員として認めていたとは考えられない。
 A社においては22年度において従業員15名に対して退職勧奨が行われ、8名がこれに応じているが、このことは市からの受託件数の減少が契機になったとはいえ、同社の経営判断の下に行われたとみるのが相当である。
 以上のことからすれば、会社従業員の労働条件に関して、市が雇用主である会社と同視できる程度に直接関与しているとはいえない。
3 結論
 以上のことから、市は、会社との間に一般家庭ごみ収集業務の委託契約を通して一定の関係を有することにより、会社に対し一定の影響力を有していたといえるものの、会社は独立して事業を行う法人であって、市の一部門とはいえず、また、市が会社従業員の労働条件を雇用主と部分的に同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定できる地位にあるともいえない。したがって、市は組合員らの労組法上の使用者とはいえず、その余を判断するまでもなく、本件申立ては却下する。  
掲載文献   

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