概要情報
事件名 |
大阪府労委平成23年(不)第8号 |
事件番号 |
大阪府労委平成23年(不)第8号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y株式会社 |
命令年月日 |
平成23年11月7日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
Cは、被申立人会社に入社後、会社の実質的なトップである代表取締役Bの求めにより取締役に就任し、さらにその後、Bと同じ代表取締役に就任して勤務していたが、Bの意向により平成22年9月6日付けで退任することとなった。本件は、その後、Cが申立人組合に加入し、組合がCの退職理由や退職金に関する要求事項を議題とする団交を申し入れたところ、会社が、Cは長年、代表取締役の地位にあり、労働者ではないなどとして、これに応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、申立てを棄却した。
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命令主文 |
本件申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
会社法上、取締役会を置く株式会社の代表取締役は、当該会社の業務を執行し、その会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有するとされ、代表取締役とは、取締役会から業務執行に関する意思決定の権限を委譲され、当該会社を代表して内部的及び外部的に業務執行に当たるその会社の機関であることからすれば、原則として、代表取締役の地位は、使用者の指揮命令下で労務を提供する使用人(従業員)の地位とは理論的には両立するものではなく、代表取締役が使用人としての地位を兼務するということはできないが、代表取締役が実質的に上記のような代表取締役としての権限を有していないと認められるような特段の事情が存する場合、代表取締役が使用人としての地位にあるときには、その限りにおいて、労組法上の労働者に当たると考えられる。
この点に関して、申立人組合は、組合員Cは、被申立人会社の代表取締役Bに命じられ、便宜上の代表取締役に就任し、会社での決裁権はなく、Bの指揮監督の下に業務を遂行していたことから、会社との使用従属性があり、労働者である旨主張する。
しかし、①BがCに対し、使用人に対する指揮命令に相当する程度の指示を行っていたと認めるに足る疎明はなく、Cが会社の業務の執行に関して決定する権限を何ら有していなかったとみることはできない、②Cが会社の勤務時間に関して拘束性があったとみることはできない、③会社がCに対して支払った金員については、労務の対価性が明らかであるとはいい難い、④Cが会社を代表して裁判上の行為をしたことは明らかであって、同人は会社の代表取締役として代表権を有し、それを実行していたとみざるを得ない、⑤BがCに対し、同人の退任に係る「念書」への署名押印を求めたことのみをもって、その当時、同人と会社との間で労働契約が成立していたとまでは認められない。これらのことからすると、Cは会社の代表取締役として、会社の業務を執行しており、少なくとも裁判上の代表権を行使していたとみることができるのであって、同人が実質的に代表取締役としての権限を有していないと認められるような特段の事情が存するとは認められないのであるから、同人は労組法上の労働者であるとはいえない。
したがって、会社に組合との団交応諾義務はないから、その余について判断するまでもなく、本件申立ては棄却せざるを得ない。
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掲載文献 |
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