概要情報
事件名 |
県央運輸倉庫 |
事件番号 |
神労委平成22年(不)第21号 |
申立人 |
全日本港湾労働組合関東地方東京支部 |
被申立人 |
有限会社県央運輸倉庫 |
命令年月日 |
平成23年10月27日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が申立人組合との第1回及び第2回団交において形式的な対応に終始し、その後、組合に対し、会社との間で団交を行うことができるとする根拠を明らかにするよう求める旨などを記載した書面を繰り返し送付するばかりで団交に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
神奈川県労委は、会社に対し、誠実団交応諾を命じた。
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命令主文 |
申立人は、申立人が平成22年7月7日付けで申し入れた団体交渉について、速やかに誠意をもってこれに応じなければならない。
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判断の要旨 |
1 二重交渉のおそれについて
被申立人会社は、申立人組合に加入した従業員X2ら3名について、同人らは従前、同組合と名称が似ている別組合に加入していたところ、当該別組合を脱退したかどうかが定かではないとし、このため、会社は組合と別組合に対して二重交渉を強いられるおそれがあった旨主張する。
しかし、認定した事実によれば、X2ら3名は22年4月に別組合を脱退しており、かつ、同年5月に組合が会社に同人らの組合加入を通知した際、別組合からの脱退について説明をしたものと認められる。また、仮に、組合の説明が不十分であったというのであれば、その場で確認すれば、簡単に疑問を解消できたはずである。したがって、会社の主張は採用できない。
2 信頼関係の破壊について
会社は、組合が第1回及び第2回団交(22年5月21日及び6月18日開催)において脅迫・強要や名誉毀損又は侮辱といった犯罪行為に当たる言動をしたこと等は会社との間の信頼関係を破壊するものである旨主張する。
しかし、本件における会社の対応をみると、上記の団交において組合の「要求書」に対して書面で回答することを事前に求められていたにもかかわらず、多忙を理由に2回ともしておらず、会社取締役による口頭での回答は私見を述べるものであって、要求内容について社内で十分に検討した形跡もうかがわれない。このように、会社が組合との信頼関係構築について主体的な姿勢を示しているとは到底いえない状況においては、組合の強硬な姿勢は会社の不誠実な対応に起因すると考えざるを得ない。
したがって、組合の言動が一見強硬なものであったとしても、本件においてそれが交渉態様としての相当性を欠き、会社との信頼関係を破壊するものとはいえず、かえって会社における主体的な交渉姿勢の欠如こそが信頼関係構築の障害となっているものと考えるのが相当である。
また、会社は、22年7月5日以降は、「当社との間で労働組合として団体交渉を有することができるとすることの事実的・法律的根拠を明らかにされるよう求めます」、「3名の貴組合加入の事実は知りません」などと記載した「回答書」等の書面を何度も送付するという形式的な対応に終始しているが、このような対応自体が団交における一方当事者の姿勢としては不相当なものといわざるを得ない。
以上から、組合の言動が会社との信頼関係を破壊するものだとの会社の主張は採用できない。
3 不当労働行為の成否
上記のとおり、会社が組合からの団交の要求に応じなかったことについて「正当な理由」があるとは認められない。
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掲載文献 |
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