概要情報
事件名 |
サンケン電気 |
事件番号 |
石労委平成23年(不)第1号 |
申立人 |
全国一般石川地方労働組合 |
被申立人 |
サンケン電気株式会社 |
命令年月日 |
平成23年10月18日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社の子会社たるZ社が自社A工場の閉鎖を同工場の従業員が加入する申立人組合に提案したところ、組合は会社に団交を申し入れた。本件は、会社が組合員の使用者には当たらないことを理由に当該団交を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
石川県労委は、申立てを棄却した。
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命令主文 |
本件申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
○被申立人会社は、A工場閉鎖問題について、団交応諾義務を負う使用者に該当するか。
会社は、資本関係、役員派遣の状況及び営業取引関係から、親会社として、Z社の経営に対し一定の支配力を有していたことは認められる。
しかし、Z社においては、独自の経営会議で重要事項の意思決定を行い、また、総務、人事、経理、企画業務を行う独立的な会社組織をもって事業活動を行い、会社と独自に団交を行っており、意思決定、組織及び団交の独自性からみても、会社とは別個の法人としての独立性が認められる。
また、Z社の基本的労働条件等に関しては、会社がZ社を含むグループ内子会社に方針を決定し、示していたことがあったとしても、申立人組合が会社に対して団交を申し入れたこともなく、具体的、現実的には組合とZ社との間で団交を経て決定されていた。
さらに、A工場閉鎖問題についても会社による赤字製品の販売中止方針の決定事実などが認められるが、会社が同工場の閉鎖を実質的に決定したとまでは認められない。
以上のことからすると、会社はZ社の経営に対し一定の支配力を有していたことは認められるが、それが親会社がグループの経営戦略的観点から子会社に対して行う管理・監督の域を超えているものとまでは認められないことから、組合員の基本的な労働条件等に対して、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているものとはいえず、会社は労組法7条の使用者に当たるということはできない。
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掲載文献 |
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