労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第36号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第36号 
申立人  X労働組合、同大阪合同支部 
被申立人  株式会社Y 
命令年月日  平成23年10月3日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が団交において次回団交の日程及び場所を確認したにもかかわらず、その後申立人組合に対し団交を行わない旨通知したり、議題の制限や開催場所の変更を求めたり、回答済みの質問を繰り返したりするなどして、団交を拒否していることは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、会社に対し団交応諾及び文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社Yは、平成21年12月18日の団体交渉において申立人X労働組合及び同大阪合同支部との間で開催を合意した団体交渉に、その議題及び開催場所についての前提条件を付すことなく、また、申立人X労働組合及び申立人同大阪合同支部並びに申立人組合員の行為についての見解を求めることなく、速やかに応じなければならない。
2 被申立人株式会社Yは、申立人X労働組合及び申立人同大阪合同支部に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日
 X労働組合
  執行委員長 A 様
 X労働組合大阪合同支部
  執行委員長 B 様
株式会社Y
 代表取締役 C

 当社が平成21年12月18日の団体交渉において貴組合との間で開催を合意した団体交渉に、その議題及び開催場所についての前提条件を付し、また、貴組合に対し貴組合及び貴組合組合員の行為についての見解を求めることによって応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。  
判断の要旨  1 団交を効果的に行うために議題を整理する必要性が存在したとの会社の主張について
 被申立人会社は、平成21年12月18日の団交において、申立人組合との間で次回団交を22年2月5日に大阪市で行うことについていったん合意したが、同年2月4日、当該団交を行わない旨通知し、翌5日、1月25日に会社が解雇通知を交付した組合員Dの解雇決定に論点を絞るなら団交に応じる旨組合に回答した。会社は、組合が申し入れた団交議題については一切協議に応じることなく、自らがDの解雇という新たな議題を提起したものとみることができる。そして、その後、組合は、次回団交の議題をDの解雇問題及び組合員Eの休職期間満了の2点に絞るとの会社提案を最終的に受け入れている。
 そもそも会社が組合の同意なく団交議題を制限することは特段の事情がない限り認められないというべきである。この点、会社は過去6回の団交で度々議論が拡散して団交の実を挙げることができなかった旨主張するが、会社が組合の同意なく交渉事項を制限すべき特段の事情があったとは認められない。
 以上のとおりであるから、団交を効果的に行うために議題を整理する必要性が存在したとの会社の主張は採用できない。
2 組合との団交を行わないことの正当な理由があるとの会社の主張について
 会社は、組合が違法な営業妨害行為及びビラ配り行為を行っているところ、その目的はD及びEの処遇について組合の要求を通すことであり、結局は団交の議題と同一であることから、団交に不当な影響を与え、その正常な進行を妨げる結果となる旨主張するが、団交外で行われたD及び組合のこれらの行為が団交に不当な影響を与えるなどのおそれがあると認めるに足る事実の疎明はない。
 また、会社が上記の行為についての組合の見解を度々文書で求めたのに対し、組合は2つの書面において自らの見解を回答しているとみることができる。
 会社は、組合が従前の団交において威圧的な態度をとったことも団交に応じなかった理由として挙げているが、会社がそのことを主張し始めたのは本件申立て以降のことであるとみられ、本件申立て後に考え出された後付けの理由であるとみるのが相当である。
 以上のとおりであるから、会社の主張についてはいずれも理由がないといわざるを得ない。
3 会社が次回団交の開催場所を名古屋市とする提案をしたことについて
 会社は、22年3月3日提出の回答書において開催場所を名古屋市に変更する提案をした理由について会社、組合双方の便宜を考慮した旨主張するが、過去6回の団交が長野市又は大阪市で行われているところ、この間、開催場所をめぐって当事者のいずれかに支障が生じたとか、開催場所の変更について団交で話し合われたと認めるに足る事実の疎明はなく、会社の主張は採用できない。
 会社が前述のとおり、この提案の前後の時期に、団交議題の絞込み並びに組合員及び組合の行為についての組合の回答を団交開催の条件としたことを併せ考えると、この提案は団交開催場所の変更を団交開催の条件としたものとみるのが相当である。これらは、いずれも、団交を開催しないため、又は団交開催を引き延ばすためであったとみざるを得ない。  
掲載文献   

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