労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  オリンピア工業 
事件番号  都労委平成21年(不)第78号 
申立人  全国一般東京一般労働組合 
被申立人  オリンピア工業株式会社 
命令年月日  平成23年9月6日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社は、製造部の廃止に先立ち、整理解雇を実施することとし、平成21年9月10日、X2ら組合員3名を含む4名に対し解雇予告通知を行った。当該4名のうち非組合員であった1名も間もなく申立人組合に加入し、組合は同月25日、同4名に対する解雇通告について本件不当労働行為救済申立てを行った。本件は、会社が上記整理解雇の一環としてX2を解雇したことが、同人が組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たるか否かが争われた事件である。なお、X2以外の3名については本件係属中に和解が成立し、申立てが取り下げられた。
 東京都労委は、会社に対し①X2の解雇をなかったものとして取り扱い、原職に復帰させること及びバックペイ、②文書の交付・掲示、③履行報告を命じた。  
命令主文  1 被申立人オリンピア工業株式会社は、申立人全国一般東京一般労働組合の組合員X2に対し、平成21年9月30日付解雇をなかったものとして取り扱い、原職に復帰させるとともに、解雇の翌日から原職に復帰させるまでの間の賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、会社内の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
年  月  日
  全国一般東京一般労働組合
  執行委員長 X1 殿
オリンピア工業株式会社
代表取締役 Y1
  当社が、貴組合の組合員X2氏を平成21年9月30日付けで解雇したことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
  (注:年月日は文書を交付又は掲示した日を記載すること。)

3 被申立人会社は、前各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。  
判断の要旨  1 労使関係の状況及び被申立人会社の申立人組合に対する姿勢について
 会社は、一時帰休の実施、製造部廃止の決定及び希望退職の募集については、いずれも、まず、従業員全体に対して決定事項として発表した上で、組合との団交や組合への申入れを行っている。また、整理解雇の実施・撤回を巡って行われた平成21年9月7日の団交が決裂した後、会社はわずか3日後にX2ら4名に対し解雇通知を行っており、極めて性急で不自然であるというべきである。
 このように、会社は一時帰休の実施から整理解雇に至る過程で終始組合をないがしろにするかのように手続を進めているといえる。このことは、会社が、組合軽視ないし強い対決姿勢が露わにならないようにするため、早々に組合と協議したという外形のみを整えて、実質的には組合の抵抗を封じながら直ちに整理解雇を実施しようとしていたことを強く推認させるものである。
2 整理解雇の実施について
 会社が主張する整理解雇対象者の選定方法には、その選定基準についても基準の適用についても、疑問の点が多々ある。そして、前述のような労使間の緊張関係と会社による組合軽視ないし強い対決姿勢が存在する状況において、全体として合理性があるとはいえない選定基準の下、手続面でも問題のある形で整理解雇が実施され、組合員3名全員が対象になったことからすれば、会社は、組合員全員が解雇の対象となるように選定基準を作り、それを適用したものと推認せざるを得ない。
3 X2の解雇について
 以上から、本件整理解雇は、会社が合理化策の実施を避け得ないという状況を奇貨として、その推進の障害となっているともみていた組合員を会社から一掃することを狙って行われたものといわざるを得ない。したがって、会社がX2を解雇したことは、組合員であることを理由とする不利益取扱いに当たる。
 
掲載文献   

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