労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第3号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第3号 
申立人  X労働組合、B 
被申立人  Y1株式会社、Y2株式会社 
命令年月日  平成23年9月16日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社Y1が①有給出勤扱いとなる組合用務のための休日(組合用務有休)の不正使用等を理由に組合員Bを解雇したこと、②同社の従業員であり組合員であったGの死亡後、組合員のうちから欠員補充を行わなかったこと、及び被申立人会社Y2(Y1と同一系列の資本下にあるグループ会社)が申立人組合に組合事務所を貸与しなかったこと は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、申立てをいずれも棄却した。  
命令主文  本件申立てをいずれも棄却する。  
判断の要旨  1 組合員Bの解雇について
 被申立人会社Y1の社長が平成21年5月23日、Bとの面談において、Bが別組合に加入していた時期の組合用務有休の使用に不正の疑いがあるとして説明を求めたところ、同人はあいまいではあるものの、組合用務有休届とは異なる活動をしたことがあったことを認め、少なくともはっきりと不正使用はない旨の発言はしていなかったとみることができる。そして、後日、Y1が不正使用が疑われる日についての別労組からの回答を受け、Bに対し、さらに3回にわたり面談の呼出しを行い、説明を求めたのに対し、Bはこれに応じず説明を行わなかった。以上のことからすれば、Y1がBに組合用務有休の不正使用があったと判断したことは不合理なものであったとはいえない。また、解雇理由の1つとされる上記面談の呼出しに対する出頭拒否についてみると、Bは合理的な理由により呼出しに応じられなかったのではなく、出頭を拒否していたものとみることができる。
 この組合用務有休の不正使用を巡る問題は、Y1と別労組との関係にも影響を及ぼす側面もあることから、Y1においても所与の事実をもとに決着させざるを得ないと判断したことに不自然さは認められない。このような状況下、Y1は本件解雇を決せざるを得ないとの判断に至ったものであることが認められ、この判断はBに対し、申立人組合への加入を理由として解雇という不利益を与える意図の下に行われたものであるとも、また、組合に対する支配介入に当たるとも認めることはできない。
2 組合員の死亡後の欠員補充について
 組合は、退職者が出た場合にはその者が所属していた労働組合の組合員を採用するという欠員補充のルールについての口頭確認、労使慣行があった旨、及び被申立人会社Y2で勤務していた組合員FをY1に転籍させるという内容の合意があった旨を主張する。
 しかし、Y1には過去に退職者の所属組合を優先する形での採用が行われていた例はあるものの、そのような採用が口頭確認されていたり、労使慣行になっていたとまでみることはできない。また、Fの転籍に係る合意については、それがあったことを示す証拠はなく、また、平成20年8月7日付けの組合分会とY1との覚書の記載からすると、明確な形での合意があったと認めることはできない。
 以上のことからすると、Y1が組合員Gの死亡後、組合員のうちから欠員補充しなかったことについては、組合に対する支配介入に当たるとはいえない。
3 組合事務所の不貸与について
 申立人らは、Y2が組合に組合事務所を貸与すべきことが平成14年4月1日付け協定書で定められている旨及びY2は別労組にのみ組合事務所を貸与しており、併存組合間の不平等が生じている旨主張する。
 しかし、上記協定書の関連の条項には解釈の余地があり、Y2が組合事務所を貸与することが一義的に明確に規定されているとは読めない上、もし貸与が約束されていたのならば、その後3年間に組合がその要求を行っていないこと等は不自然であり、同協定書においてY2が組合に組合事務所を貸与することが定められたとまで認めることはできない。
 また、申立人らが、Y2がY1から使用貸借し別組合に貸与していると主張する建物は、Y1が所有するものであるが、これをY2に貸与していることを示す証拠はない。申立人らは、その建物がY2所属の別組合の組合員のための事務所として使用されていると主張するが、Y1は当該建物を別組合に貸与しており、Y2所属の別組合の組合員がこれを使用しているとしても特に不自然な点はない。したがって、Y2が別組合に組合事務所を貸与していた事実を認めることはできない。
 以上のことからすると、Y2が組合に組合事務所を貸与しなかったことは、組合に対する支配介入に当たるとはいえない。  
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約342KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。