概要情報
事件名 |
宮古島市 |
事件番号 |
沖労委平成22年(不)第3号 |
申立人 |
沖縄県公務公共一般労働組合 |
被申立人 |
宮古島市 |
命令年月日 |
平成23年7月1日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
非常勤嘱託職員の雇止めに関する団体交渉における被申立人市の対応は不誠実な団体交渉又は団体交渉拒否に該当するとして、救済申立てがあった事件である。
沖縄県労委は、市に対し誠実団交応諾を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、今後、申立人から、X2を含む申立人組合の委嘱期間満了に関わる事項についての団体交渉の申入れがあったときは、誠意をもって速やかにこれに応じなければならない。
2 その余の申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 平成22年3月25日の団交申入れに対する対応について
申立人組合が平成22年3月25日、被申立人市に対し、X2ら3名の組合員の雇止めを行わず、速やかに雇用継続を行うことを要求事項として団体交渉を開催するよう申し入れたのに対し、市は翌26日、X2の再任用をしない旨及びこの書面をもってきちんと回答したものと考えており、団体交渉の必要はないものと思う旨を記載した福祉保健部長名の文書を組合にファクシミリで送付した。しかし、それまでの間、団体交渉は一度しか行われておらず、また、その場や他の機会においても、市は組合に対し具体的な説明を行っていない。
非常勤嘱託職員にとって再任用が認められなかった場合には、その職を失い、生計の手段を失うことになるから、委嘱期間満了前に団体交渉を行う高度の緊急性及び必要性が認められるところ、市は団体交渉に応じ、そこで十分な説明を尽くし、組合の理解を得られるように真摯に対応すべきであるにもかかわらず、上記文書においても再任用しないとの結論に至った具体的な理由及び経緯について十分な説明を行っているとは認められず、また、このほかに団体交渉に応じることができない正当な理由として認めるに足る疎明もない。
以上のことから、市が団体交渉を拒否したことは、正当な理由によるものとは認めることはできない。
2 4月12日の団交について
4月12日の団体交渉において、組合がX2を再任用しない理由を質しても、市は「任期が満了」だからと一般的・抽象的な回答をするにとどまっており、また、非常勤等採用基準が存在するにもかかわらず組合にその基準を提示せず、具体的な資料や根拠を示して説明する等の対応をしていない。4月27日に電話で、勤務実績、能力実証等に留意した結果、再任用しないことにした旨の回答をしているが、この内容も一般的・抽象的である。以上のとおり、市は十分な説明を尽くしておらず、誠実に団体交渉義務を果たしたものと認めることはできない。
3 市がX2を再任用しない理由を説明しなかった理由について
市は、X2を再任用しない理由を説明しなかったのは、同人の後任候補者の機微情報に配慮したものであり、再任用するかどうかは、非常勤等採用基準をのみをもって判断するのではなく、長期的、計画的な人材育成等を総合考慮して決定しており、内部基準の適用・運用についても一定の行政裁量が認められるべきであり、市の対応には相当の理由があったと主張する。
しかし、後任候補者の機微情報に触れないで、再任用しない理由について説明することは、相当程度可能と思料されるところであり、市の主張は採用することができない。また、人事について一定程度の裁量権があることが、組合に対して十分に説明を行う義務としての誠実交渉義務までも免除するものとは認めることができない。 |
掲載文献 |
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