労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第20号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第20号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成23年8月26日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社の営業課長であったCは、平成21年12月、申立人組合に加入するとともに、社内でZ労働組合を結成し、22年1月14日、会社社長にその旨を伝えた。会社は、1月23日、ユニオンショップ協定を結んでいた別組合との間で会社再建に向けての賃金減額等について定めた協定を締結し、その後Z組合に対し、これと同内容の協定を締結するよう求めた。Z組合は、これを受け入れず、団交が行われたものの、合意には至らず、同組合は3月12日、会社に対し、和歌山県労委への不当労働行為救済申立て等を行うので対応するよう求めた。会社は、3月15日、Cのいくつかの言動が就業規則の解雇事由に該当するとして同人を解雇した。Z組合は、会社に対し、当該解雇の問題について団交を申し入れる一方、4月4日、臨時大会を開催し、組合に加盟することを決定した。
 本件は、会社が①1月22日、従業員のZ組合への加入を妨害するような文書を掲示したこと、②Cを解雇したこと、③組合と3月31日に団交を行った後、4月8日付け文書により、上記解雇に関する団交は決裂したとして、以後の団交を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、会社に対し、①Cの解雇がなかったものとして取り扱うこと及びバックペイ、②文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員Cに対する平成22年3月15日付け解雇がなかったものとして取り扱うとともに、解雇の日の翌日から就労させるまでの間、同人が就労していれば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年  月  日
  X労働組合
   委員長 A 様
Y 株式会社
代表取締役 B
 当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、(1)については労働組合法第7条第1号に、(2)については同条第3号に、(3)については同条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
(1) 貴組合員C氏を解雇したこと。
(2) Z労働組合の結成に際して文書を掲示したこと。
(3) 平成22年4月8日に貴組合員C氏の解雇に関する団体交渉を打ち切ったこと。  
判断の要旨  1 申立人組合は、本件申立てについて申立人適格を有するか。
 被申立人会社は、下記2及び3の行為が行われた時点で、会社は組合の存在を知らず、また、当該行為はZ組合が組合に組織加入する以前に行われたものであり、組合とは無縁のものであるから却下すべきである旨主張する。しかし、本件救済申立て前にZ組合は組合に組織加盟を決定していること、会社は組合員Cの解雇問題についてZ組合及び組合のいずれとも団交を行っていることが認められる。これらのことからすれば、Z組合は組合の下部組織であり、また、組合への組織加盟の前後において、Cの解雇を争う紛争の実質やZ組合の組合員と使用者との関係などに変化はなく、Z組合としての実質的な同一性は保たれているのであって、組合とは無縁の他組合の救済を求める申立てであるから不適法であるとの会社主張は採用できない。
2 会社がZ組合の結成後、「現況について」と題する社長名の文書を掲示したことは支配介入に当たるか。
 会社が1月22日に掲示した文書は、文言上は新しい組合の結成や別組合とのユニオンショップ協定の存在という事実を記載しただけのようにも読める。しかし、会社再建のために別組合と労使一丸とならねばならない状況下で新しい組合ができたという記載などを踏まえると、全体の趣旨は、会社が暗にZ組合結成を批判し、従業員の同組合への加入をけん制したものであるといわざるを得ない。よって、会社が同文書を掲示したことは同組合の組合活動を阻害するものであったといわざるを得ない。
3 Cの解雇は、組合員であるが故の不利益取扱い及び救済申立てをしたこと等による報復的不利益取扱いに当たるか。
 本件解雇は、別組合と協調して会社再建を進めようとしていた会社が、別組合とは締結済みの賃金減額を含む協定書案への調印をZ組合にも求めたものの、同組合が一向に締結しようとしないため、その対応を嫌悪して同組合の執行委員長であったCを解雇したものとみるのが相当であるから、労組法7条1号の不利益取扱いに当たる。なお、組合又はZ組合が本件解雇以前に労働委員会に救済申立てを行ったと認めるに足る疎明はないから、同条4号にも当たるとの組合の主張は採用できない。
4 会社が団交を打ち切ったことは不誠実団交に当たるか。
 22年3月31日開催の団交において会社は本件解雇の理由について一定の説明をしているものの、組合が解雇理由が不合理である上、手続に不備がある旨主張しているのに対し、会社は何ら説明をせず、また、解雇通告書には懲戒解雇の条文を記載しているにもかかわらず、普通解雇であると説明するなど不合理な説明をしているのであるから、会社が組合の納得を得ようと説明を尽くしたとは到底いえない。また、同団交で組合が、会社が本件解雇について再検討した上で再度会いたいと述べ、会社もこれを了解したにもかかわらず、文書により、会社の結論は変わらないと一方的に通知して団交を拒否していることからしても、会社の対応は真摯に話し合う姿勢に欠けていたといわざるを得ない。 
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約248KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。