労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  (有)森田住宅設備 
事件番号  高労委平成23年(不)第1号 
申立人  高知一般労働組合 
被申立人  有限会社森田住宅設備 
命令年月日  平成23年8月22日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社でコンビニエンスストアの店長を務めていたX2は、無断早退などを理由に会社から出勤停止を命じられ、申立人組合に加入した。その後、会社と組合との間で当該出勤停止の処分に関して3回にわたり団交が行われたが、解決には至らなかった。
 本件は、①第2回団交において、会社社長が、組合員X2については解雇したのではないと述べた上、本社に配置転換するとし、その場合の労働条件等については次回の団交で話し合うことを了承したにもかかわらず、会社がその翌日、X2に対し解雇予告通知を送付したこと、②上記解雇予告通知の送付後、会社がX2の解雇及び未払賃金の問題に関する団交に応じないこと、③労基署が会社に対しX2に係る未払賃金の支払いについて指導した後、会社が同人に対し、今後は組合を通じての団交等を一切しない旨の誓約書の提出を求め、これが送付され次第、未払賃金を支払うとしたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 高知県労委は、会社の上記①及び②の行為は労組法7条2号の不当労働行為に、③の行為は同条3号の不当労働行為にそれぞれ当たるが、X2は既に少額訴訟の判決を経て未払賃金の全額を受領しており、救済命令を受ける利益を欠くとして、申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社が組合員X2の解雇を一方的に通知したことについて
 会社は、第2回団交において、解雇ではないのでX2の身分・賃金は保障するとして、これを前提に配置転換命令を発し、労働条件等については次回の団交で協議する旨合意しておきながら、その翌日ないし翌々日には具体的理由を示すことなく同人の解雇を一方的に通知してきたというのであるから、会社の対応は、およそ団交により誠実に問題解決を図ろうとしたものとは認められず、労組法7条2号に規定する不当労働行為である。
2 会社が団交申入れに応じないことについて
 会社は、解雇及び未払賃金の問題に関する団交申入れに対し、当社はX2を解雇し退職金等の支払いも完了しており、一切関係がないなどとして応じていない。会社は、10回にわたる団交申入れに応じておらず、これを正当化する具体的事実も認められないのであるから、かかる会社の行為は労組法7条2号に規定する不当労働行為である。
3 会社がX2に対し誓約書の提出を条件に未払賃金を支払う旨通知したことについて
 会社は、X2に対し、組合を通じて交渉を行わない旨の誓約書を提出することなどを条件に未払賃金を支払うと通知しているが、これは、一方で組合との団交を拒否しながら、他方で個人交渉の機会を提示することにより、同人を組合から離脱させ、もって組合の弱体化を図ろうとするものと認められ、組合に対する不当な介入と考えるほかない。 
掲載文献   

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