労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  鹿労委平成21年(不)第2号 
事件番号  鹿労委平成21年(不)第2号 
申立人  X組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成23年4月12日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   (1) 被申立人会社の前代表取締役Y2が組合員X2に対して組合加入について問い質したこと、(2) 申立人組合の執行部員X3が組合活動のため、船長であるX2の乗船許可を受けた上でA船に乗船したにもかかわらず、会社の取締役兼運航管理者Y3が会社の乗船許可を取るように言ったこと、(3) 会社が組合に労働組合の活動を否定する内容の文書を送付したこと、(4) 会社が船員に対して組合加入の事実や組合費の納入方法、チェックオフ同意意思等に関する確認のために調査を実施したこと等は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 鹿児島県労委は、会社に対し、組合への交渉権委任の有無を調査しないこと、組合費納入と組合員資格との関係について言及しないことなどを命じた。 
命令主文   被申立人は、その従業員に対し、次のことを行ってはならない。
1 申立人への交渉権委任の有無を調査すること。
2 組合費納入と組合員資格との関係について言及すること。
3 組合脱退及び再加入について、被申立人に通知するよう求めること。
4 組合加入確認調査で、ユニオンショップは憲法上問題であるなどとして、組合加入を思いとどまらせるような記載をすること。 
判断の要旨  1 会社の前代表取締役Y2は組合員X2に対し、組合加入の事実関係を問い質す行為を行ったか。行った場合、労組法7条の支配介入に該当するか。
 航行中のA船に船長として乗船していたX2にY2が電話して出社するよう求めたのは、会社がX2から社員の組合への加入状況についての情報を得るためであったと推測される。そして、X2が出社した際、会社から同人に対し「管理職は組合に入れないのを知っているか」「組合に入ったのは何人くらいか」などの発言があったと認めるのが自然である。しかし、これらの会社の発言は、組合加入についての詰問や問い質しとまではいえず、明確に組合を弱体化させるなどの支配介入の意図を持って行われたとまで認めることはできない。
2 会社の取締役兼運航管理者Y3が申立人組合の執行部員X3に対して行った発言は、労組法7条の支配介入に該当するか。
 会社は、X3が船長の許可を受けて乗船したことに非があると主張するが、乗船時に会社の許可を要するとの会社の規則等はなく、船長の許可を受けて乗船したことに問題はない。X3が下船の際、Y3から「おたくは誰」と聞かれ、組合の者であると答えた後、Y3が「誰の許可を得たのか、乗船する必要があるのか」との発言をしたが、これは会社の許可を得ないで乗船したことに対し不快感を持ち注意したにすぎない。運航管理者の発言としては不自然とまではいえず、Y3に組合活動を妨害しようとする意思があったとまでは認められない。
3 会社が組合に労働組合の活動を否定する内容の文書を送付したことは、労組法7条の支配介入に該当するか。
 組合は上記の文書にある「A船に、当社の承諾も受けずに無断で乗り込んでいる行為は刑法に抵触します」との文章が組合活動の自由を妨害するものであるなどと主張するが、これはX3の乗船を会社が事前に知り得なかったため、船舶に乗り込んでの組合活動にも施設管理権者の許諾が必要であることを会社として通知したものとみるのが相当である。また、X3の乗船の前日、組合が会社に来て、事前協議もなく協約締結の申込みを行ったため、会社が組合に相当な不信感を抱いていたことは想像に難くない。これらのことから、当該文書を送付した会社の行為は理解できないことではなく、また、組合活動への介入意図は認められない。 
4 会社が船員に対して組合加入の事実等の確認のため調査を実施したことは、労組法7条の支配介入に該当するか。
 この調査のごとく、組合との交渉を始める前に、子細な項目にわたって、全船員に直接調査を実施しなければならない理由は認められない。また、調査事項のうち第2項、第3項、第7項及び尚書きの文言は、意思確認というよりはむしろ、組合に加入していることや今後加入することにより会社から不利益を受けることを船員に想起させ、不安と動揺を与え、船員の組合からの脱退を勧めたり、組合への加入を思いとどまらせようとする内容であることから、組合活動を阻害するものであり、労組法7条3号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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