概要情報
事件名 |
大阪府労委平成22年(不)第42号 |
事件番号 |
大阪府労委平成22年(不)第42号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y株式会社 |
命令年月日 |
平成23年6月6日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
神奈川県川崎市に本社を置く被申立人会社に雇用され、大阪市内にある営業部署で勤務していたDは、当該部署閉鎖の情報を他社に漏洩したことなどを理由に懲戒解雇された。本件は、会社が(1) 申立人組合に加入して懲戒解雇の撤回等を求めたDに対し、刑事告訴すると通告するとともに、通勤定期代相当額の不当請求を根拠に賃金を支払わなかったこと、(2) 大阪市内を開催場所とする団体交渉に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、会社に対し誠実団交応諾及び文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。
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命令主文 |
1 被申立人は、申立人から平成22年3月3日付け及び同月15日付けで申入れのあった団体交渉について、団体交渉開催場所にかかる協議が整うまでの間、大阪市内において、誠意をもって速やかに応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
X労働組合
執行委員長B様
Y株式会社
代表取締役C
当社が、貴組合から平成22年3月3日付け及び同月15日付けで申入れのあった団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
3 申立人のその他の申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 被申立人会社が組合員Dに刑事告訴すると告げたこと並びに平成21年10月分及び11月分の給与を支払わなかったことは組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たるか。
会社は組合員Dが申立人組合に加入した日より以前に、同人に対して面談及び懲戒解雇通知書において、(1) 会社の営業部署閉鎖の情報を他社に漏らした旨、(2) 会社製品を他社に横流しした旨、(3) 自転車で通勤しながら通勤定期代を詐取していた旨の主張を行っていたことが認められる。そして、それ以外に、会社がDに刑事告訴すると告げたこと及び上記の給与を支払わなかったことが組合員であることを理由として行われたことを認めるに足る事実も見当たらないのであるから、これらのことが組合員であるが故の不利益取扱いであるとまで認めることはできない。
2 組合の団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たるか。
組合と会社の間の団交はすべて大阪市内で開催すべきものであるとまでは必ずしも言えないものの、団交開催地について労使間の主張に隔たりのある本件においては、会社は組合に対し、団交開催地等に係る具体的条件を提案して協議を進める一方で、まずは組合が過重な負担を伴うことのない大阪市内において組合との団交に応じるべきであるにもかかわらず、自らの希望する会社本社の所在する川崎市での団交開催に固執して大阪市内での団交に一切応じようとしなかったとみるのが相当であり、本件団交申入れについて本社所在地でないと応じないとした会社の対応には正当な理由があると認めることはできず、本件団交拒否は労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 |
掲載文献 |
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