労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  延山 
事件番号  都労委平成22年(不)第25号 
申立人  三一書房労働組合 
被申立人  有限会社延山 
命令年月日  平成23年4月19日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   申立外会社Aの業務に従事していた被申立人会社の従業員X2が申立人組合に加入したところ、会社は同人を自主退職したものとして取り扱い、平成21年4月以降の賃金の支払いを停止した。その後、組合とAとの協議の結果、X2を会社籍のままとして賃金を支払うことが確認され、支払いが再開されたものの、22年2月以降の賃金が未払いとなった。本件は、X2に係る未払賃金の支払い等を議題とする団体交渉に会社が応じていないことは正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は、会社に対し誠実団交応諾を命じた。
 なお、本件は、都労委平成21年不第68号事件(三一書房)の関連事件である。
 
命令主文  被申立人有限会社延山は、申立人三一書房労働組合が、平成22年2月26日及び同年3月12日付けで申し入れた従業員X2の未払賃金の支払い等を議題とする団体交渉に、誠実に応じなければならない。
 
判断の要旨   被申立人会社の従業員X2が申立外会社Aにおいて同社の指揮命令を受けて就労している事実は、出向関係において出向労働者が出向先企業からその業務について具体的指揮命令を受けているのに類するものとみることができ、会社の使用者性を否定すべき事情とは解されない。また、会社の社長は、従業員に賃金を直接手渡したり、従業員を激励するなど同社の代表者としての行動をとっている。そして、会社はX2との雇用関係があることを前提にその解消や被保険者資格喪失手続を行い、また、同人との雇用関係を巡る紛争が収束して以降、同人との雇用関係の存在を認め、本件団体交渉事項の賃金未払問題が生じるまで同人に対して賃金を支払ってきた。
 そうすると、X2の未払賃金等に係る本件団体交渉事項については、X2の雇用契約上の使用者である会社が団体交渉に応ずべき地位に立つと解せられ、会社とX2との雇用関係は形式的なものにすぎず同人の使用者たる立場にはないとする会社の主張は、採用できない。
 会社は、Aの従業員ではないX2は申立人組合に加入し得ず、同人の労働条件に関する団体交渉を申し入れることはできないとも主張するが、組合とAとの労働協約にはAの従業員は組合の組合員でなければならない旨の定めはあるものの、組合員はAの従業員に限ると定めている事実は認められないのであるから、会社の従業員たるX2は組合に加入できないとする主張自体失当というべきである。
 会社がX2の未払賃金の支払い等を議題とする団体交渉申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。
 
掲載文献   

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