労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成21年(不)第41号 
事件番号  大阪府労委平成21年(不)第41号 
申立人  X労働組合 
被申立人  生活協同組合Y、株式会社Z 
命令年月日  平成23年3月31日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   ①被申立人会社Zから被申立人生活協同組合Yに派遣されて就業していた組合員X2をY及びZが共謀して雇止めしたこと、②YがX2の雇用契約についての団体交渉に応じないことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、Yに対する申立てを却下し、Zに対する申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人Yに対する申立てを却下する。
2 被申立人Zに対する申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人生活協同組合Yは、組合員X2の労組法上の使用者といえるか。
 X2の賃金を実質的に決定して支払っており、同人の雇用について管理を行っていたのは被申立人会社Zであったといえるから、X2とZとの雇用契約が有名無実であり、X2とYとの間で黙示の雇用契約が締結されていたとは認められない。
 YがX2に係る労働者派遣契約を更新しなかったことが同人とZとの雇用契約の終了につながったのは事実であるが、Yが当該雇用契約の終了について派遣先という立場を超えて、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったとはいえない。また、YとZがX2の雇用契約の終了について共謀したことを認めるに足る事実の疎明はない。
 以上のことから、YはX2の雇用契約終了に関し、労組法上の使用者に当たるとはいえない。
2 YがX2の直接雇用及び同人の雇止めの撤回や組合への支配介入の禁止に関する事項について、組合の団交申入れに応じるべき使用者に当たるか。
 X2は派遣期間制限の例外とされている「テレマーケティングの営業関係(24号)」を業務内容として雇用契約し、Yに派遣されていたのであるが、同人に係る派遣契約終了後Yが同人と同一の業務に従事させるために新たな労働者を雇い入れたことを認めるに足る事実の疎明はないから、Yが労働者派遣法40条の5の規定により同人に対し直接雇用の申込みをする義務があったとまでいうことはできない。
 X2の雇止めの撤回や組合への支配介入の禁止に関する要求についてみると、上記1のとおり、X2とYとの間に雇用契約が存在したとはいえず、また、Yが同人の雇用契約の終了に関し雇用主と同視できる地位にあったとみることはできず、当該雇用契約の終了についてYとZが共謀したとの事実も認められない。
 よって、組合が申し入れた団交事項について、Yは団交申入れに応じるべき使用者に当たるとはいえない。
3 ZがX2を雇止めにしたのは、同人が組合員であることを理由として行った不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。
 X2とZとの雇用契約は、期間の定めのある登録型の雇用契約で、その前提となるYとZとの派遣契約の更新があって初めて成立するものであるから、当然に更新が予定されていたとか、実質的に期間の定めのない雇用契約であったとはいえない。
 また、YとZがX2の雇用契約終了について共謀したことや、組合公然化以降、組合とZとの間で紛争が生じるなどZが組合を嫌悪していたことを認めるに足る事実の疎明はなく、さらに、ZはX2に対し本件雇用契約終了後の新しい仕事を紹介していることから、Zが同人を組合員であるが故に雇止めしたとみることはできない。 
掲載文献   

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