概要情報
事件名 |
大阪府労委平成22年(不)第27号 |
事件番号 |
大阪府労委平成22年(不)第27号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y株式会社 |
命令年月日 |
平成23年4月22日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
申立外派遣元会社からの派遣により被申立人会社Yで就業していた組合員Cは、Yの社員から仕事上のミスについて叱責(注意)を受けたことを契機として医師から「ストレス反応」と診断される状態になり、就業しなくなった。その後、申立人組合XはCの休業等をめぐる問題についてYに団体交渉を申し入れ、両者の間で話合いが行われたが合意に至らず、平成22年1月、Xは誠実団交応諾等を求めて大阪府労委に救済申立てを行った(22-1号事件)。同年2月、この事件について、Yは誠意をもって話合いに応じる旨の和解が成立した。
本件は、上記和解が成立したにもかかわらず、Yがその後の話合いにおいて不誠実な対応に終始したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 被申立人会社は、組合員Cの労組法上の使用者といえるか。
平成21年8月5日付け団交申入書はYの社員からCが叱責を受けてストレス反応により休業したとすることも議題としており、これは職場における労働者の安全と健康の確保に関する事項であるから、この点を団交事項とする限り、一見明白に、派遣先の事業者であるYに団交に応じる義務が生じる余地がないとまではいえず、YがCの労組法上の使用者に当たらないとまで認めることはできない。
2 組合員Cに係る団交申入れに関する会社の対応は、不誠実であったといえるか。
XとYとの間では、上記団交申入書に記載された議題について22年3月2日に話合いが行われ、YはCについてのトラブルがあった日の状況を具体的に説明した上で、Xの要求を受け入れない旨回答しているのであるから、Yの説明が必ずしも一方的であったとまではいえず、むしろ、実質的な交渉が行われているというべきであり、また、Xが求める解決に至らなかったとしても、そのこと自体をもってYの対応が不誠実であったとまでいうことはできない。同日の交渉は決裂していたとみるのが相当であり、その原因がYのみにあったともいえない。
なお、Yは「団交ではなく、話合いなら」との立場をとっていたが、労組法上の使用者性について争いがある中で和解協定書が締結され、実質的な交渉がなされていた状況を勘案すれば、必ずしもYの対応が不誠実であるとまではいえない。 |
掲載文献 |
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