労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  アルティアセントラル 
事件番号  静労委平成21年(不)第9号 
申立人  三島ふれあいユニオン 
被申立人  株式会社アルティアセントラル 
命令年月日  平成23年3月10日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   イギリス国籍のX2は、外国語指導助手(ALT)を学校に配置する事業等を行う被申立人会社に有期雇用契約により雇用され、A町の中学校でALTの業務に従事していたが、平成21年3月末をもってA町と会社との業務委託契約の一部が終了したことに伴い、会社から雇用契約を更新しない旨の通知を受けた。本件は、会社がX2の有期雇用契約の更新拒否等を議題とする団体交渉に誠実に応じなかったこと等は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 静岡県労委は、会社に対し誠実団交応諾を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X2の有期雇用契約の更新拒否及びその理由並びに雇用保険未加入問題を議題とする申立人との団体交渉に、就業規則を提示して誠実に応じなければならない。
2 申立人のその余の請求をいずれも棄却する。 
判断の要旨   3回にわたり開催された団体交渉における交渉事項のうち、義務的団交事項であると認められるのは、①X2の雇止めの理由を明らかにし、解雇予告手当を支払うこと(雇止め問題)、②X2の離職証明書に記載する離職理由を「契約終了による離職」ではなく、「会社都合」とすること(離職理由問題)、③雇用保険に遡って加入する手続を行うとともに、未加入であった期間の保険料を全額会社が負担すること(雇用保険問題)、④就業規則を組合に提供すること(就業規則問題)の4つである。
 「雇い止め問題」に関しては、X2の雇用契約が既に5回更新されてきたことからすれば、同人は6回目以降の更新に期待的利益を有していた可能性があり、また、同人は職場喪失が日本在留の基盤の喪失となることもあり得る外国人であることにも配慮すべきであったことから、会社は雇用契約を更新しない理由に関して十分な説明を尽くさなければならなかったのであるが、会社が団体交渉において説明を尽くしたとの証拠は見出すことができない。
 「離職理由問題」に関しては、会社は離職理由は契約期間満了と考えており会社都合に改めるつもりはないなどと説明しているが、上記のようにX2が契約更新への期待的利益を有していた可能性があることや会社が契約先から受託していた業務を半減され、同人の他の雇用先も確保できなかったことからすれば、契約更新がなされなかったことは会社の都合によるものと考えられる。しかし、会社は単なる契約期間の満了であるとの説明に終始しているのみであり、組合の理解を得ようと努めたことを示す証拠はない。
 「雇用保険問題」に関しては、X2は雇用契約の更新を繰り返して1年以上会社に勤務していたのであるから、雇用契約期間が1年に満たないので加入する必要がなかったとする会社の説明は極めて不十分である。
 「就業規則問題」については、団体交渉では「雇止め問題」などについて交渉が行われていたことから、会社は就業規則の写しを提示するなどして、その内容を組合に説明する必要があったと考えられるが、雇用契約が終了したとの理由のみをもって写しの提供ができないと回答していた。
以上のことから、義務的団体交渉事項に関する会社の団体交渉での対応はいずれも誠実であったと認めることはできない。
掲載文献   

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