概要情報
事件名 |
財団法人榛名荘 |
事件番号 |
群労委平成22年(不)第1号 |
申立人 |
榛名荘病院医師労働組合 |
被申立人 |
財団法人榛名荘 |
命令年月日 |
平成23年3月17日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
①被申立人法人が団体交渉において申立人組合の要求に対し明確な回答を行わなかったこと等、②法人の理事長が団体交渉において組合に対する威嚇発言を行ったこと等、③法人が組合員である医師と非組合員である医師の待遇について差別をしたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
群馬県労委は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも棄却する。 |
判断の要旨 |
1 第1回から第4回までの団体交渉に関し、被申立人法人が申立人組合の要求書に対する回答を準備していなかったこと、団交において労使合意した事項を履行しなかったこと等は、団交拒否又は不誠実団交に当たるか。
法人は、義務的団体交渉事項について一部回答し、それ以外で組合が最も関心があると思われる事項についても回答しており、法人の回答準備が必ずしも不十分であったとまではいえない。また、一部について回答準備が不十分であったとしても、そのことが労働者の待遇や労使関係上のルールについての合意形成を阻害したとは認められない。さらに、組合が労使合意があったとする事項については、団交において明確な労使合意があったとはいえないものであるか、又は合意があったとしても義務的団体交渉事項には当たらないものである。以上のようなことから、法人の対応は団交拒否又は不誠実団交に当たるとまではいえない。
2 法人の理事長が人事は自分の専権であるなどと発言したことは、支配介入に当たるか。
実際の団交の状況からみて、理事長の発言は組合に対する威嚇を目的とする表現とは認められない。また、同理事長から組合に対し、不利益が生じる可能性を示唆するような発言も見受けられない。よって、上記の理事長の発言は支配介入に該当しない。
3 組合員医師と非組合員医師との間で労働条件に差があったか。仮にあった場合、法人がそうした差を付けたことは不利益取扱いに当たるか。
組合は、非組合員である医師Aについて、年俸額が高額であり、宿舎が無償提供されていることなどをもって組合員医師に対する差別であるとするが、非組合員医師の中にも年俸額が組合員医師の平均額より少ない者が存在し、組合員医師の間でも年俸額が異なるというように、個人の業務内容、役職及び経験等によって労働条件に差が生じることは通常どの組織においても見られることであり、Aの労働条件と組合員医師の労働条件との差が組合員差別によるものとはいえない。 |
掲載文献 |
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