概要情報
事件名 |
エッソ石油(平成10年度賃上げ・一時金) |
事件番号 |
中労委平成12年(不再)第55号 |
再審査申立人 |
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合 |
再審査申立人 |
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再審査被申立人 |
エクソンモービル有限会社 |
再審査被申立人 |
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命令年月日 |
平成22年11月10日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、平成10年度賃上げおよび一時金に関する団体交渉(以下「団交」)において、組合が指定した日時での団交設定に応じなかったことが、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当するとして、申立てがあった事件である。
大阪府労働委員会は、団交における会社の対応に不当労働行為は認められないとして、組合の救済申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
使用者に団交義務がある場合であっても、使用者は組合が主張するような「組合指定の日時に団交に応じる絶対的な義務」まで負うものではない。もっとも、使用者は、組合が開催日時を指定して団交を申し入れた場合、日程を調整し、指定の日時に団交に応じることが望ましく、やむを得ない事情などがあり、日程の調整がつかないときは、組合にその旨説明し、代替日を示すなど、誠意をもって対応し、団交日程設定に努力すべきである。会社は、組合からの申入れのあった7月10日、15日および16日の団交に、いずれも応じられないと返答し、その際、7月10日および16日については、団交に応じられない理由も具体的に説明しており、また、会社が応諾できる代替日として7月21日を申し出ていることなどからして、団交の日程を決めるべく相応の努力をしていたと判断される。また、初審における証拠および当審における証人の証言を総合しても、会社が団交担当者の個人的な都合を優先させたと認めることはできない。 なお、組合は、会社が7月15日の団交開催を理由も言わずに拒否しているから、会社の対応が不誠実であった旨主張する。確かに、会社は、組合に対し、7月15日の拒否理由を具体的に説明したとは認められず、7月16日について「解雇裁判の当日でもっとだめだ」と述べて、7月15日は裁判の準備で忙しいことを暗に示した程度にすぎない。しかし、一方で、組合も、会社に対し、7月15日でなければならない事情を具体的に説明することも、7月15日を拒否する会社の理由を問いただすこともなく、かえって、すぐに7月16日、7月10日と、別の候補日を提案している。そうすると、差し支え理由を明確に説明することなく7月15日の団交開催に応じなかった会社の対応を一方的に非難することはできない。 会社と組合の間に複数の不当労働行為事件が係属することになった平成10年度当時の労使関係を考え合わせると、会社は、組合の要求がなくとも7月15日を拒否する理由を具体的に説明し、信頼関係の構築に努めるべきであったと言えるとしても、これをしなかったからと言って、団交日設定における会社の対応が不誠実であることにはならない。
以上の次第であるので、団交日設定における会社の対応は不誠実であったとは言えず、労働組合法第7条第2号の不当労働行為は成立しない。 |
掲載文献 |
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