概要情報
事件名 |
三一書房(分離命令) |
事件番号 |
都労委平成21年(不)第68号 |
申立人 |
三一書房労働組合 |
被申立人 |
株式会社三一書房 |
命令年月日 |
平成23年1月25日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
|
事件概要 |
組合員の社会保険の被保険者資格、事務所の移転及び組合員の労働債権等に関することを議題として平成21年7月及び8月に開催された2回の団体交渉における被申立人会社の対応が不誠実なものであったとして、救済申立てがあった事件である。なお、本件は、都労委平成21年(不)第68号事件の救済申立て事項のうち一部を分離して先に審査したものである。
東京都労委は、会社に対し団体交渉への誠実な対応を命じた。 |
命令主文 |
被申立人株式会社三一書房は、申立人三一書房労働組合が、平成21年7月14日付け及び8月19日付けで申し入れた団体交渉について、実質的な交渉を行い得る代表取締役を出席させた上で、申立人組合の質問に対し、回答の根拠となる資料等を示し、あるいは具体的かつ合理的に説明するなどして、誠実に対応しなければならない。 |
判断の要旨 |
本件各団交における使用者側出席者は常務取締役Y2のみであったところ、同人は、申立人組合との間でかねてから問題になっていた組合員の社会保険被保険者資格の回復についてその手続が遅れた理由を十分に説明せず、あるいは事前の準備不足のまま団交に臨み、また、事務所の移転に関連する、組合員のパソコンの撤去の問題等に関して、当然に知っていると考えられる事項についても知らないと答えたり、仮に知らないとしても、その確認をとろうとしなかった。さらに、会社の経営状況が分かる資料の提出要求については、これを提示できない理由について説明せず、これに代わる具体的な説明もしておらず、また、労働債権の確認については、それを認めることができない具体的な理由を何ら示さなかった。
本件各団交におけるようなY2に任せただけの対応では、実質的な交渉となり得ない状況があるにもかかわらず、会社は適切な対応を何らとっていなかったということができる。
したがって、会社の対応は、団体交渉議題について組合との合意形成の可能性を模索するというには程遠く、単に形式的にのみ団交を行ったものであり、誠実に行ったものとは到底評価することができず、労組法7条2号の不当労働行為に該当する。 |
掲載文献 |
|