労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  丸菱運輸 
事件番号  長崎県労委平成22年(不)第2号 
申立人  全国一般長崎地方労働組合長崎地区合同支部 
被申立人  株式会社丸菱運輸、破産者株式会社丸菱運輸破産管財人Y2 
命令年月日  平成23年2月21日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社と申立人組合とが人件費の削減をめぐって交渉を重ねていたところ、会社が組合との合意のない時点で、①従業員代表に人件費の削減に関する就業規則の変更案に対する意見を求めたこと及び変更された就業規則を適用し、賃金を切り下げたこと、②同じく従業員代表に休業協定の締結を求めたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 長崎県労委は、会社に対し①就業規則変更による賃金カットについて誠実に団体交渉を行うこと、②文書の手交を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文  1 被申立人破産者株式会社丸菱運輸破産管財人Y2は、平成22年6月1日から実施した就業規則変更による賃金カットについて、誠実に団体交渉を行わなければならない。
2 被申立人株式会社丸菱運輸は、申立人全国一般長崎地方労働組合長崎地区合同支部に対し、本命令書受領の日から10日以内に、下記内容の文書を手交しなければならない。
 当社が、平成22年6月1日から実施した就業規則変更による賃金カットに関する団体交渉継続中において、貴組合との合意がない時点で、従業員代表に就業規則変更の意見書の提出を求めたこと、及び就業規則を変更し、賃金カットを実施したことは、長崎県労働委員会によって、労働組合法第7条第2号及び第3号に違反する不当労働行為であると認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
 平成 年 月 日
全国一般長崎地方労働組合長崎地区合同支部
   執行委員長 A 様
株式会社丸菱運輸
代表取締役 B
3 申立人のその余の請求は棄却する。
判断の要旨  1 人件費削減案に関する就業規則の変更について
 5月15日の団体交渉においては人件費削減案と休業協定について交渉が行われたが、その2つとも打切りのやり取りはなく、未解決のままに終わり、労使双方が持ち帰ることになったと解するのが相当である。その後、同月20日に会社は固定給者の基本給カット率を12.5%とする就業規則変更案を従業員代表に提示した。さらに、26日には組合に対して、組合の意見を再検討して固定給対象者のカット率を2.5%上積みした旨説明した。
 これらの対応をみても、会社が5月15日の時点で最終判断を固めていたと認めるのは困難である。したがって、同日の団交はまだ行き詰まっておらず、継続されるべき状態にあったと認められるから、これを打ち切った会社の一連の行為は不誠実団交であると認めざるを得ない。
 さらに、会社の行為を別の側面から見ると、継続中の交渉議題について、交渉結果を踏まえて会社としての人件費削減案を修正したにもかかわらず、それを組合に提案することなく、従業員代表に対して意見を求め、就業規則を変更することによって自らの案を実現したのである。このことは、労働条件に関する組合との団交による合意形成を目指さないことで、組合の存在意義を否定し、ひいては組合に対する組合員の信頼を損なわしめるおそれがあることから、組合運営に対する支配介入であるといわざるを得ない。
2 休業協定について
 休業協定について、5月15日の団体交渉において継続協議となったことには双方に争いがなく、また、従業員代表に提示した内容が同日の団交後に組合の主張を検討して修正したものである点についても、上記1の場合と何ら変わることはない。
 そうすると、団交が継続中に会社が従業員代表に休業協定締結を求めた行為は、労組法7条2号に規定する団交拒否に該当するとともに、同条3号に規定する支配介入に該当する不当労働行為であるといわざるを得ない。
 しかし、6月23日に会社が、組合が求めていた内容での休業協定の締結を求めたところ、組合はそれを拒否したのであるから、休業協定に関して、組合に救済するまでの理由があると認めることはできない。 
掲載文献   

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